[2-3] 投資ファンドの目指す利益

2013/11/07更新

ファンドの投資手法

 私募ファンドは契約期間が概ね5-7年で、その後、全物件を売却して投資家に元本を返済しなければなりません。あまり時間がないため、賃料収入を気長に取るよりも、5年後に今より高く売れる見込みのある物件を選好します。このようなファンドは、収益性を計るのに、NOIキャップ,NCFキャップ,CFADS, IRRなどの指標を用いてプロジェクトを管理しており、それらの指標の優れた物件こそが、対投資家へ説明しやすい「良い物件」となります。

 これらのファンドは、50~70%(2010年末現在)、ひどい時(最盛期)は90%程度を借入に頼り、元本から見て数十パーセント以上の利回りを目指す代わりに、ゼロになる可能性も高いというものです。

 なぜファンドはそんなに儲かるの?と思わずにはいられませんが、基本的には、ある程度まとまった金額の現金(時に5億であったり1,000億であったり) を持っている人でないと買えないワケあり物件、まとめて(バルクで)購入することを条件に安く買える物件、というのが存在します。そのような割安な物件を 買い集め、化粧直しして高く転売するというのが高収益を生む手法の代表で、一般的にディストレスト、オポチュニスティックなどと呼ばれています。

  他にも、賃料値上げのできる可能性のある物件を購入して、購入後にテナントと交渉(時に賃料値上げ訴訟を起こしたり)して賃料を値上げ(=利回りを上げ)、その後に転売というような手法も2006~2007年頃に日本で流行しましたが、その後、サブプライムのあおりを受け、多くが損を出しています。

 ちなみに、最も著名だった私募ファンドは、2007年6月に総額2813億円で全日本空輸(ANA)からホテルを買収するなどして名を馳せた、メズレフ(MSREF:Morgan Stanley Real Estate Fund)ではないかと思いますが、その後は開店休業の状態が続いているようです。(2010年末現在) また、業者として活動していてよく耳にする、GEキャピタルというファンドも東京を中心に多くの物件を保有していました。

 なお、ファンドの中には不動産現物のみならず、CMBSRMBSと言われる不動産融資元本に対して投資するものもあります。いわゆる不良債権ファンドです。

REIT投資のメリットとデメリット

 J-REITのように上場しているために永続性があり、安定収入型を目指すファンドもあります。しかし、ファンドの物件仕入れの多くはパイプライン契約やアセットマネジメント会社からのものであり、要は身内からの仕入れとなるため、そこに利益相反(身内の会社が条件の悪い物件をファンドに売るという出口戦略)の可能性が潜んでおり、一時期は、REITは不良物件のゴミ箱代わりなどと言われていたこともありました。

 それを避けるため、鑑定評価と言って、外部の中立機関が適正価格を評価することが義務づけられており、抑止力となっているはずですが、不動産鑑定業務において買主側の価格目線や予算など思惑が鑑定評価額に反映されてしまい、実質的に外部評価が形骸化していることは多くあります。

 良い点としては、個人でするよりも条件の良い借入を起こしてレバレッジを高められるというところ、金額が大きいので一等地にAクラスビルが購入できるところ、金利キャップなどの金融商品をヘッジ目的で購入しており金利上昇リスクに対する備えをしているところ、などです。

 また、REIT投資家の目的は安定的な収入を得ることであるにもかかわらず、REIT運用者が目標にしているのは外部成長による資産額を増やすこと。となっているケースが多いのも問題です。これでは投資家の期待する安定収入路線で運用をしてくれるのかどうかは運用者次第となってしまいます。

一時期は沖縄のホテルもファンドの投資対象として好まれていた。日本ホテルファンドのザ・ビーチタワー沖縄

J-REITの関連リンク→ JAPAN-REIT.com REITの現在価格から逆算した想定利回りが便利。

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