[3-4] IRR収益力を高める方法4[経費編]

 不動産投資で最も読みにくい要素は取得してからの経費です。特に古い物件では、排水ポンプ故障、雨漏りなど、さまざまな突発経費がかかります。これらを計算に入れ、最小限のコストで抑えることが投資効率を上げるのに必要です。

 ポイントは、あくまで投資物件であるので、完璧にキレイに仕上げる必要はなく、コスト効率の最も高い点で均衡させることです。せっかくだから全部キレイにしちゃいましょう。という考えは収益を生みません。

 また、購入時、売却時を合計すると6.3%にもなる仲介手数料についても説明します。

区分所有物件の経費

 経費とは、主に区分所有物件の場合、

・管理費

・修繕積立金

・不動産取得税


・固定資産税


・都市計画税


・室内の修繕

 ですが、区分所有の場合は土地の評価が低いので税金はそれほどたくさんかかりません。管理費と修繕積立金が高すぎないかをチェックしましょう。戸数が少ないのに設備が豪華な物件は管理費が高いです。

<都内の7,000-9,000万円前後の中~高級マンションの経費>
 管理費+修繕合計で3万円/月 程度、それに加えて、固定資産税と都市計画税の合計で月1万円程度(自分で住む場合の課税軽減措置適用後)です。なお、マンションでも他人に貸す場合は固定資産税+都市計画税の軽減措置が受けられなくなりますので一気に2倍くらいに増えることもあります。

<中古で1000万円以下の投資用ワンルームタイプの経費>
 管理費+修繕積立金は1.0~1.5万円が相場です。築年数が数十年と古くなってくるともう少し増えます。築年数が古いのに修繕積立金が安い物件は、管理組合にいくら積み立ててあるのかを確認してから買わないと、修繕の必要なときに修繕できないという事態が発生します。

 マンション全体の大規模修繕の際に追加で修繕費用を徴収する管理組合もあるので、修繕計画と管理組合の修繕積立金留保額に関する資料を請求してみると良いでしょう。

□小規模で古い物件は修繕費用の割合に注意

  古い区分所有物件の場合は、雨漏りや配水管のトラブルで数十万円規模の修理費を要する可能性もあり、これは賃料収入の数ヶ月分にも相当してしまいます。大 規模な一棟物件で、賃料が数百万円/月と入ってくるものであれば、数十万円の修繕費をかけても、それほど痛くはないですが、小規模な物件ではメンテナンス の出費は賃料との相対比率で大きなウエイトを占め、利回り低下要因となり得ますので、小規模で古い物件は特に注意が必要です。

一棟所有物件の経費

 一棟所有物件の場合は、次のような経費がかかることを計算に入れる必要があります。

[中大規模ビル]

・エレベータ保守

・機械式パーキング保守

・コンシェルジェ業務外注


・共有部分光熱費


・植木手入れ


・外壁塗装


・エアコンフィルター交換


・防虫薬剤散布


・停電対策設備保守(非常用バッテリーなど)


・空気環境測定


・セコム

・自家発電機、変電設備保守

・災害対策設備の点検

・消防計画、廃棄物管理責任者など遵法のための書類提出

[小規模物件]

・清掃、メンテナンス、ダスキンマット

・給排水ポンプメンテ交換


・屋上防水工事


・メーター検針(事務所の場合)


・水質検査


・外壁のリニューアル


・共有部分内装のリニューアル

一番大きな経費は仲介手数料

 本当は一番大きな経費は税金なのですが、税金は不動産に特化した節税ノウハウというのはそれほど多くなく、せいぜい減価償却のたくさん取れる物件を買う、法人化して役員及び従業員給与を支払う、という程度です。また、あまり派手にやり過ぎると、節税を通り過ぎて税務署に目を付けられる可能性もあります。

 税金の次に大きなコストとなるのは仲介手数料です。仲介手数料については次のように考えています。

 最近は、購入する物件が決まっている場合は仲介手数料半額という不動産業者がいくつもあります。何度か物件の売買を経験している人で、どのような書類や現場で何をチェックすべきかを心得ている人、つまりはある程度分かっている人であるならば、それ以上のことを期待しなければ、そのような業者に依頼してもトラブルにはならないと思います。

 しかし、手数料を大幅に値引きするのは、一般的には、レインズや各種広告媒体に長く掲載されている売れ残り物件であることが多いです。みんながほしがるような優良物件で手数料を値引きする業者は絶対にありません。値引きせずとも売れるからです。手数料は安くなったけど、物件自体が良くなかったということにならないように注意が必要です。

 また、そのような格安業者は、物件の調査、吟味は購入者がしっかり見てください。というスタンスなので、本来は宅建業者の義務であるはずの重要事項説明書がきちんと書かれているかも購入者がチェックしなければなりません。

 物件の資料も必要最低限のものしか出てこない可能性があるので、具体的に必要な資料名をすべて挙げてられるような上級者向けです。たとえば、竣工図など必要な資料がないと、売るときに苦労しますが、竣工図などの引き継ぎは宅建業法では定められていませんので、購入者が気付かなければ入手できません。

 なお、手数料を満額払えば完璧なサービスが受けられるわけではない、もっと言えば、大手だからといって信用できるとも限らないので、自分で情報を調べてから臨みましょう。(このページも大いに参考にしてください。)

  ちなみに、物件価格の3.15%+63,000円(税込み)という手数料は高いのでしょうか?他の投資商品と比べてみると、たとえば、日本の投資信託など では購入時に1%~3.15%に加えて毎年1%程度の信託報酬、海外の不動産売買では、売り主のみが5%負担(買い主は手数料がかからない)というケー ス、海外の私募ファンドでは購入時に15%程度も実質的に手数料がかかっている商品もよくあります。安くも高くもというところでしょうか。しかし、2011年5月6日現在、133,904件もの宅建業者が仲介手数料で(だけとは限りませんが)ビジネスを成り立たせていることを考えると、3.15%は少なくない金額なのかなとも思います。

 過去にはこんな騒動もありました。民主党が両手売買禁止のマニフェストを作成。買い手、売り手の双方から手数料をもらう両手取引は利益相反の温床という立場からでしょうか。2011年5月現在、両手売買は禁止されていません。 民主党政策集2009(PDF) (41ページ)一つの業者が売り手と買い手の両方から手数料を取る両手取引を原則禁止とします。

流通税の節約

 印紙税登録免許税不動産取得税などの諸経費は、中間省略信託受益権化など特殊なことをしない限りは、節約法はありません。実際にやろうとすると第二種金融商品取引業の免許が必要になる場合もあり、個人で取り組める内容ではないため敷居が高く、節約法を研究しているという人も聞いたことがありません。そのため、ここでは深追いしません。


2013/11/07更新