[4-2] 物件調査(テナント付き物件編)

2013/11/07更新

物件調査/テナントが入っているビルやマンション

バブル期にデザインされたと思われる豪勢なビル

 基本的に、どんな人にとっても、不動産を売却するというのは一大事です。売却に至る理由というのが必ずあり、中には物件そのものが抱える問題に耐えきれなくなったために売りに出したいというケースもあります。

 その中には、重要事項説明書に説明義務のない悪い兆候や問題により売りに出されるケースもあり、売り主は合法的に説明を免れることもあります。それに気づかずに買ってしまった次の持ち主は、後からそれに気づいて苦労することになってしまいます。

 どんなポイントに気をつければ良いのでしょうか。いくつか例を挙げて説明したいと思います。

説明義務のない諸問題

 たとえば、長期で入居していて優良安定テナントだと思っていた店舗の経営者と物件オーナーの仲が悪かったり、複数フロアまとめての転出予定に感づいたオーナーが気づかないふりをして売りに出したり、売るに際して何か悪い事件がきっかけになっているようなケース。

 このような情報は当然資料には出てこないので、現地調査、聞き込みが有効です。実際行ってみると、テナントの××社の部長は知り合いだから聞いてみる、など、誰かしらがどこかでつながっていて、意外にみなさん親切に教えてくれます。資料外の定性要因をよく調べることが買ってから当てが外れることを未然に防ぐポイントです。

現テナントが抜けたら次が入らない物件

 また、テナント付き物件で最も調べるべき定性面は、現況満室だったとしても、今のテナントが抜けた場合に次に入らないような悪い条件がないか(店舗なのに場所が悪い、暗い階段のみで5Fまで上がらなければならない、など)の調査が特に重要です。しかもこれは、不動産業者はあまり教えてくれません。「この物件、現況満室で高利回りですが、一度抜けたら次はなかなか入りませんのでご了承ください。」と教えてくれる親切な業者は少ないということです。

賃料妥当性の検証

 そして、もう一つ、テナント付き物件で重要なのが賃料の妥当性検証です。販売図面には想定賃料xx円と書かれていますが、これはそのまま信用しない方が良いでしょう。周辺の同程度の物件がいくらくらいで募集、成約しているかを参考に想定賃料を計算し直します。これも、「古くから入っているテナントの賃料は割高なので、現在の価格に合わせて再計算した方が良いですよ。」と教えてくれる業者は少ないので、自分でやりましょう。

 募集賃料と成約賃料は値引きの絡みがあり、必ずしもイコールとは限りません。さらに言えば、数年前(ミニバブルと言われた景気の良かった時期)から入居しているテナントの賃料は、現在の賃料水準よりもかなり高いということも多々あるので、現状満室だとしてもテナントの賃料は妥当であるかの検証は重要です。

 賃料を再計算しなければならない理由として、オフィス系と店舗系物件の賃料は景気に大きく左右されることが挙げられます。住居系はそれらほどではありませんが、やはり景気の影響を受けることは避けられません。


資料は財団法人 不動産流通近代化センター 2011 不動産業統計集より
http://www.kindaika.jp/chosa/tokei

 このように、オフィス系の賃料と空室率は景気変動に合わせて大きく動きます。オフィス系のテナントは入居期間が5年以上前からということもめずらしくはな いので、現在の賃料水準と照らし合わせて再募集時の想定賃料を再計算する必要があります。これを業者が作成した満室想定価格に盲目的に従ってしまうと、後 日の再募集時に見当が大きく外れる可能性があります。


資料は株式会社東京カンテイ 『分譲マンション賃料月別推移』2011年3月
http://www.kantei.ne.jp/news/cate01_m.php?category_no=10

 住居系はチャートを見ての通り、そこまで大きく景気の影響を受けません。これが、景気の悪い時期でも「住居系は(賃料を)下げれば、誰かしらは入る。」と言われる所以です。また、一定以下の金額になれば、アジア系外国人需要もあり、どうがんばっても埋まらないという状況は都心ではあまり発生しません。

不動産投資1年目の教科書
このページが書籍になりました!
不動産投資1年目の教科書

これから始める人が必ず知りたい80の疑問と答え

玉川陽介 著


不動産投資を始める前の方から不動産投資上級者まで。全ての不動産投資家に向けた「教科書」が完成しました。悩みがち・見落としがちな項目にすべて回答いたします!おかげさまで8刷35,000部を突破!(うち電子5,000)

このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事についてのお問合わせ

玉川陽介
不動産投資
メールマガジン
メルマガ購読・解除