[5-6] 物件調査(街のトレンド)

2013/11/07更新

時代により街の価値は変わります。この町の中心地ならば、未来永劫テナント付けには困らないと思った場所でも、産業構造の変化によりそれが成り立たなくなったり、逆に今までは注目度の低かった場所が再開発によって活況を帯びることもあります。

 長期保有目的の物件においては、街の将来も一緒に見据えて投資する必要が出てきます。

秋葉原-電気街から萌えの街へ

西川口-風俗街の浄化とともに大きな変化

墨田区-東京スカイツリー効果どこまで?

東日本橋エリア
-レトロモダンをコンセプトとしたリノベーション


田園調布
-元祖高級住宅街


武蔵小杉
-都会派ヤングプロフェッショナルで賑わう街

豊洲・月島・勝どきエリア-タワーマンション湾岸戦争とまで言われたエリア

川崎
-制作中

二子玉川-もう多摩川べりとは呼ばせない。アッパーミドルファミリー向け新興地区

柏の葉キャンパス-つくばエクスプレス線沿いのスマートシティ

越谷レイクタウン
-ため池の畔に新しいエコシティが誕生


浜田山
-三井グランド跡に作られたマンション群

新浦安ー3.11震災の残した爪痕

秋葉原-電気街から萌えの街へ

 

 20年前は完全に電気とパソコンの街だった秋葉原。今はパソコン関連物販の店は減少して、代わりに漫画アニメ、ガンダム、プロレス、プラモ、などマニア向けのショップと飲食が増えています。一昔前まではメイド喫茶も多くありましたが、最近は旬を過ぎたようです。

  また、かつての秋葉原にはコンピュータ機器の中古を並べる店が多数ありましたが、現在は、新品価格が下がってきて、新品と価格差の小さい中古をわざわざ選 ぶ意味がなくなってきていることや、ヤフーオークションで購入した方が安い、などの理由からソフマップを始め、中古からは撤退している店舗が多いのが現状。

 このように、街や産業のトレンドが大きく変わった場合、テナントの属性や賃料にも大きく影響が出てきます。今は、秋葉原でもちょっ と場所が悪くなると、どの種類のテナントを探すか?というところから考えなければならず、全盛期に比べてテナント付けは簡単ではありません。当然、物件価 格には下落圧力がかかります。

西川口-風俗街の浄化とともに大きな変化

 西川口は、かつて埼玉最大の風俗街でした。と過去形で書かれるように、ここも産業の衰退と共に不動産市況に大きな影響が出た地域です。

 ネットの記事によれば「埼玉県警によると、西川口駅周辺の店舗型の違法性風俗店、通称「エステ」は04年に約200店あったが、昨年末現在では6店舗に激減。客を風俗店に紹介する「情報館」も、昨年3月には約20店あったが、今はゼロ。」(2007年現在) とのこと。

 私はこの分野には明るくないのですが、東京都の風俗一掃作戦の影響や街の治安が悪化したことによる浄化作戦など行政主導で風俗店が追い出されたかたちのようです。

 そうなると、風俗ビル、風俗関係者の寮などだった場所にはテナントが付かなくなり、風俗街一掃の後には、西川口の売り物件が大量に市場に出回るという結果になりました。このように街の役割が劇的に変わるような場合、当然、賃料や物件価格に大きく影響してきます。

墨田区-東京スカイツリー効果どこまで?

 東京都墨田区は不動産業界では城東エリアと言われ、城南城西に比べると一段階落ちるエリアというのが通説です。しかし、東京スカイツリーが着工し始めた あたりからは、城南城西という東京主力エリアで市況が停滞しているにもかかわらず、この地域での賃貸、売買が盛況であるという噂を何回か耳にしました。

 賃貸の広告でも東京スカイツリー一望という宣伝文句を良く目にするようになりました。かつては、検討対象から外れていたエリアがにわかに脚光を浴びてきています。

 しかし、個人的には、スカイツリー効果は限定的だと考えています。観光ルートとなる道路沿いの店舗には価値が出るでしょうが、住居系の人気は一時的なものでしょう。なぜならスカイツリーが家の近所にあっても、これと言って実利がありません。

東日本橋エリア-レトロモダンをコンセプトとしたリノベーション

 ひと昔前までは、小さくて古いビルの乱立する、空室の目立つオフィス街だった東日本橋。最近(2011/01)はアガタ竹澤ビルという東京R不動産が仕掛けたらしい物件を中心に、セントラル・イースト東京などとかっこよいネームが付いて見直されています。

 簡単に言うと、神田のようなボロいビルではなく、レトロで味のあるかっこいいビルというコンセプトで若い自営業者やSOHOをターゲットにコンバージョンをやっているようです。

田園調布-元祖高級住宅街

 1980年代には、「弁が立つ、腕が立つ、田園調布に家が建つ」と言われた元祖高級住宅街。駅の西側のいちょう並木からはちょっと外れた2等地でも坪 300万(2011/02現在)、扇形の中の一等地はあまり売り物が出ていないようです。この界隈は最低敷地面積というのが定められていて、50坪以下の 土地には家が建てられません。

 トレンドとしては、バブル期に最盛期を トレンドとしては、バブル期に最盛期を迎え、最近はそこまでの人気はないようです。と言っても相変わらず高級住宅街の看板に偽りはありません。

武蔵小杉-都会派ヤングプロフェッショナルで賑わう街

 武蔵小杉の再開発については、このページがわかりやすいです。Wikipediaにも再開発に関係する情報が出ています。もともとは工場やグランドだった場所ですが、2006年頃からタワーマンションが建ちはじめ、若者を中心とする活況な街に生まれ変わりました。

 

2011年7月筆者撮影

  地元の不動産業者に聞き込みをしたところ、毎週のように飲食店などを開業したいが空き店舗はないか?という人が来るとのことですが、空きがないのだそうです。山の手の内側ですら「賃料の問題以前に開業したい人が誰もいない」(高田馬場の地元業者)と言われるご時世に活況です。

豊洲・月島・勝どきエリア-タワーマンション湾岸戦争とまで言われたエリア

 勝どきエリアの一部のみを集めましたが、再開発でたくさんのタワーマンションが建ちました。

勝どきビュータワー 勝どき駅地下直結1分。ゴールドクレスト。
アパートメンツタワー勝どき 勝どき駅徒歩2分。東京建物・イヌイ倉庫。
プラザタワー勝どき 勝どき駅徒歩2分 銀座徒歩圏のハイグレードマンション
THE TOKYO TOWERS 勝どき駅徒歩5分。もうひとつの、アイラブニュートーキョー、はじまる。
ソフィアタワー勝どき 勝どき駅から徒歩5分の高級分譲賃貸タワーマンション
コスモ東京ベイタワー 勝どき駅徒歩9分、2000年竣工。
ベイシティ晴海 スカイリンクタワー 勝どき駅徒歩9分。高層分譲賃貸タワーマンション。「心都心」はじまる。- UR都市機構
ザ・晴海レジデンス 勝どき徒歩10分 、2009年02月竣工。コスモスイニシア。
晴海テラス 都営大江戸線 勝どき 徒歩10分 、2009年01月竣工。コスモスイニシア。


 竣工間近の勝ちどきビュータワー

 
THE TOKYO TOWERS 2011年7月筆者撮影


THE TOKYO TOWERS建設中の様子。東京湾上の船舶より2007年1月筆者撮影。

川崎

 ラゾーナ川崎プラザと新興住宅地など。

二子玉川-もう多摩川べりとは呼ばせない。アッパーミドルファミリー向け新興地区。

 近年の二子玉川駅は、玉川高島屋エリアにできた野村不動産のプラウドタワー二子玉川(即日完売だったらしい)を皮切りに再開発が進んでおり、若者に人気のエリアとなっています。その中でも最大唯一の複合的再開発計画が東急の二子玉川ライズ。

 

 二子玉川ライズタワー&レジデンスの宣伝とその裏の当該物件。

 

 駅は東急テイストにリニューアルされ、とてもキレイで透明感のある造り。ライズタワー&レジデンスのテーマとリンクしています。

 

 カラーリングも東急の考えるアッパーミドルファミリー向けコンセプトど真ん中です。

 お盆休みにもかかわらずお店は大繁盛です。

 眺望良好(写真は二子玉川ライズタワー1.5億円の一番良い部屋より)

 二子玉川ライズタワーですが住みやすそうなマンションです。ただ、問題は山手線内側の高級マンションと変わらない平米単価で高いです。(平米110万くらい-2010年10月訪問日現在)

  通勤は渋谷までなら近いので、毎日六本木で飲み明かすような人以外にはそれほど問題とならない距離感でしょう。山手線ではなくても良い&高級ロハスファミ リーみたいなライフスタイルが良い、というの人には一番良い選択肢かもしれません。個人的にはロハスとかエコとか好きじゃないですが。

  ひとつ気になったのは、駐車場の出入り口が1カ所に集中しているので混まないかな?ということくらいかな。あとは、内装のグレードはエクセレントクラスの 部屋ではなくプレミアムクラス以上を選ばないと、必要十分ではあるが価格に比べて安っぽいかも。これとは別に、同エリアには二子玉川トレサージュ(新築時 3090~8290万円(30.60~79.91平米)というのが平成22年に竣工予定とのこと。(その後の調べでは二子玉川トレサージュは発売後1ヶ月 でほぼ完売という大人気物件だったようです。)

柏の葉キャンパス つくばエクスプレス線沿いのスマートシティ

 柏の葉キャンパス駅のあった場所には、すつては三井系列のゴルフ場がありました。また、近隣には、かつては米軍の通信基地があり、戦後、それが返還され 国有地となったため、国立がんセンター東病院、科学警察研究所、東京大学、千葉大学などのハイテク系国立施設が多く集まっています。

 その駅前のゴルフ場跡地を中心として再開発を行ったのが、ららぽーと柏の葉、パークシティ柏の葉キャンパス一番街、二番街です。三番街(オフィス棟、三井系列ホテル)まではすでに建設計画詳細が確定しているとのことでした。

 

 

  駅を降りて、まず目にするのが、マンションのモデルルーム宣伝とららぽーと。写真下左はこの地域のデモグラフィ特性をよく現しており、一言で言えば、ブラ ンドは無印良品、子育てはアカチャンホンポ、若者向けにHMVというラインが似合う街なのです。居住者の構成から見るには子育ての街と言って良いでしょ う。

 

 駅の東側に位置する、パークシティ柏の葉キャンパス一番街。こちらは2011年8月現在、すでにほとんどが完売しており入居開始していました。

 

 街区から少し離れると、何もなく、つくば駅周辺のような雰囲気でした。右はタワーマンションの建設予定地から望む一番街。

 

 二番街は、サブプライム問題、大地震、放射能ホットスポットという幾多の困難を乗り越えて、現在売り出し中。

  柏の葉キャンパスの地域全体が、産官学の連携によるスマートシティ構想による設計となっており、様々な箇所に、エコ、スマートグリッド、自家発電、地産地 消など、先端の都市設計思想が実装されています。また、住人同士の交流、コミュニティ形成にも力を入れているようです。

 感想としては、スマートシティ構想は考え方としては面白いのですが、購入者からすれば、スマートシティうんぬんよりも、㎡単価50万円以下(都心の半分)という価格で この内容(駅から近い、都心に通える)なら悪くないという見え方になっているかなとは思いました。つくばとの違いはそこでしょうか。また、最大の問題は、 子育てタウンにして柏エリアが放射能のホットスポットとして有名になってしまったことでしょう。仮に放射能は単なる風評被害であり実害はないとするならば ですが、所得レベルと家族構成がこの地域のデモグラフィ(おそらくですが、夫400万、妻300万、子供1-2人という感じ)に合っている人で、秋葉原近辺に通勤予定があるならば、悪くない選択肢かもしれません。

越谷レイクタウン-ため池の畔に新しいエコシティが誕生

 

 (訪問日2008年6月)越谷に環境配慮型の大型イオンができたという話なのかと思っておりましたが、実は、UR都市機構が主導で、何もない遊水池際(火葬場跡)に街をゼロから作るというシムシティ的な大がかりなプランでした。

 

 ビオトープ、壁面緑化、太陽発電、オール電化、ユニバーサルデザイン、セントラルヒーティング、電線埋設、などなど、最近の都市設計の流行が一通り取り入れられていて、環境省のCo2削減モデル事業にもなっています。エコ視察団みたいなのが来そうな感じです。

 電気自動車の充電スタンドがあるも、見に行ったときは、たまたま?故障中。

 

  散歩コース、遊水池のレジャー用途利用がUR主導で整備されていて暮らしやすそうです。新規に造成した町並みなので道路も広い。ニュータウンの良さは、用 途地域がきっちり分かれているので町並みがごちゃごちゃしてなくて住みやすいところですね。土地の造成、インフラ設備の埋設などはURが行った上で区画を デベロッパー向けに入札に出しているとのこと。だいたい坪70万前後で落札されたようです。しかし、越谷郊外の坪単価を言われても、高いのか安いのかよく 分からないです。

  大和ハウスがやっているものでは、マンション4,000~5,000万円、戸建て6,000~8,000円台くらいが最多価格帯。越谷という場所にしては 高い。そして、都心から遠くて武蔵野線のみというのが良くないのですが、この近郊から引っ越してくるには良いんじゃないですかね。都市計画的にはユニーク で、住んでみたい街でした。

 

  不動産的におもしろかったのは、ここの一体は土地区画整理事業としてURが開発していて、事業が一通り全て終わるまで(ここの場合は5年後らしい)は、保 留地という扱いになり、所有権移転登記ができません。従い土地部分に抵当を打てませんが、銀行融資は受けられ固定資産税もかかります。みなし所有者台帳が あるんでしょうね。イオンの土地はURからの借地とのことです。

浜田山-三井グランド跡に作られたマンション群

 浜田山には、かつて三井の浜田山グランドがありましたが、その跡地を利用して、大規模な(中規模くらいか?)マンション開発が行われています。
 パークシティ浜田山 京王井の頭線「浜田山」駅徒歩3分 三井不動産レジデンシャル

  浜田山駅周辺は、お茶屋さんや昔からの八百屋さんが立ち並ぶ祖師ヶ谷大蔵のような近隣商業地帯なのですが、一歩奥へ入るとそれなりの邸宅街。 その中に突如として大型開発エリアが現れます。中に入ると、まるで外国のコンドミニアム群の中を歩いているような感覚の浜田山の下町を忘れさせるランドス ケープでした。

 いろんなマンションを巡り歩いている私なのですが、ここに来たときは直感的にこれはスゴイ。と思ったわけです。

  住吉(兵庫)のオーキッドコートという建築史に残る高級マンション群があるのだけど、ここを歩いたときにはそれを思い出しました。周囲も一体で開発してい るという点も含めると浜田山の方がきれいにまとまっているかもしれません。共有部分は手が込んでいて非常にきれいにまとまっている。内装のグレードは最高 級というわけではないが、平米単価100万円前後という価格帯の建物としてはレベルは高い。

 浜田山から数駅以内のエリアを検討するなら この物件が間違いなく住環境、資産価値ともに一番良いでしょう。ただ、この値段なら山手線内でも買えなどと考えるとまた違った選択も。ちなみに、この物件 は売れ行きがよいらしくあまり宣伝は派手にやっていないかもしれません。場所が場所というのもあるのだけど、確かにあまり話には聞きません。

 

 携帯で撮った写真があまり良くなかったのでオフィシャルCGを拝借しました。町並みはアメリカの都市を歩いているかのような、浜田山のイメージとは一線を画するテイストです。電柱も埋設ですっきり感。

 

 同じ系統の設計ではあるのですが、棟ごとにデザインは異なっており、コピペ感はありません。共有部分は高級感があり比較的しっかりしていました。

 計画全景。手前右の空き地には戸建てが建つそうです。近隣には公園も多く、住環境は良さそうだなと思います。

 2010年10月に現地を訪れた感想としては、良いなあ、という印象でした。ただ問題は、山の手の内側とあまり変わらない価格設定、杉並区というアドレス、イメージ的におじいちゃんおばあちゃんメインの落ち着いた街、という3点はマイナス要因かもしれません。

 セールスオフィスやネットの情報を総合するには、売れ行きは悪くないそうです。いまだにうちにもDMが来るので2011年8月現在完売には至っていないということだと思います。棟ごとに小出しに販売を続けている様子です。

新浦安-3.11震災の残した爪痕

 新浦安は3.11震災で大きく変わった街です。かつては高い所得水準、住みやすい街として名を馳せていた新浦安は、今回の震災で液状化の影響を大きく受けました。

 

 地元の人に聞いたところ、入船、今川エリアは特に被害が大きかったそうです。私の友人は今川に住んでいたのですが、水道が断水したため家を離れて都内のホテルに滞在していたそうです。

 2011年10月現在では、道路の陥没や浸水は概ね手当てされていますが、私が撮ってきた写真のように、いまだに完全復旧とはなっていません。なお、業者 に聞いた話によれば、この地域では、補助金によるリフォームバブルが起きているとのことで、実際、1時間くらい現地を歩いただけで、5件ほどの工事やリ フォーム業者が現場作業をしているのを見ることができました。なお、震災直後は地面から水が吹き出ていたとのことで、Googleで「新浦安 液状化」などと入れると写真がたくさん出てきます。

 

 道路は復旧されており、走行に問題はありませんが、表面はこのように仮修繕のままです。

 

 震災に関連した取り壊しなのかは不明ですが、アパートを解体中。右は液状化でできた段差。

 

 傾いた電柱。地中に埋もれた自転車置き場の屋根。

不動産投資1年目の教科書
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