[7-1] 不動産融資の重要性

 現代の東京においては、需給の関係よりも、銀行の融資姿勢が不動産価格や投資利回りをコントロールするというのが私の持論です。不動産投資において、融資は、時に物件そのものよりも重要なのです。

 不動産融資を受けるメリットとその重要性をまとめました。

他人資本をうまく使う

 銀行が融資さえ出してくれれば積極的に不動産を購入したいと思っている投資家はいつの時代にも存在します。これは、景気がよいときも景気が悪いときもほぼ変わりません。

 なぜなら、景気がよいときは、不動産価格の上昇見込みを他人資本で狙うことができ、景気が悪いときは、低金利で調達した資金を利回りの高い不動産市場で運用してスプレッドを取ることができ、かつ景気回復後の値上がり期待も取れるためです。

 そのため、かつては、自己資金10%以下というような超ハイレバレッジで投資をする不動産ファンドも存在していました。そのような場合、不動産価格が10%を超えて下落すれば、銀行融資は焦げ付く計算となります。そのような特性から、一時は、儲かったときは投資家のもの、損をしたときには銀行の責任とまで言われたのが不動産融資なのです。逆に、投資家にとっては有利な手段だとも言えるでしょう。

低金利と投資利回りのスプレッドを取る

 物件購入に際して満額の現金を持ち合わせている場合ですらも、賃料収入>借入金利支払 という式が成り立つ場合、借入を多く起こした方が、IRR, ROIなど投資効率を図る指標は上昇します。

  そのような考え方の元では、他の金融商品、たとえば社債など、安定的に配当されるFixed Income商品においてもレバレッジが利くのであれば、借入のレバレッジ効率を考慮した上での資本投下に対する利回り(つまりはIRR)を不動産市場の 期待利回りと比較して、債券市場と不動産市場のどちらに投資のうまみがあるかを判断できます。従い、もし不動産を購入する際に低利で融資が出なければ、 IRRは大幅に下がり、「不動産より二階建て(証券担保ローン)で債券を買った方が利回りがよい」状態となり、不動産市場の魅力が薄れてしまいます。

融資が出なければ不動産市場は動けない

 そのような理由から、実務上、ほとんどのケースにおいて、不動産は融資を受けて購入されます。逆に言えば、融資が出ないのであれば、不動産市場はそれほど面白い市場ではなく、それゆえ、融資基準が緩ければ不動産市況は活性化、融資が止まれば取引も止まるというのがバブル期以降も繰り返されています。

 なお、80年代のバブル期を決定的に終焉に導いたのも総量規制という融資規制により、不動産売買を停止させたことによるものが一番大きかったというのが通説です。

銀行から見た不動産融資

 銀行から見ても、不動産融資にはうまみがあります。「100万円の無担保融資を返してもらえるかどうかも分からない零細商店に100件重ねるよりも、1 億円を物件担保付きで不動産融資を1件にした方が楽に目標(利益のみならず、中小企業向け貸出残高などの金融庁指導目標など)を達成できる」(信金営業担 当者)ことは明らかです。

返済できない場合でも投資家の損失は限定的

 ファンドや大規模案件では、ノンリコースローンと言って、融資を受けた不動産以外に資産を持っていた場合でも、それ以外の資産を持って行かれることはありません。銀行もリスクを取るかわりに多少金利を多く取ります。

 中小規模でも、ほとんどのケースでは、銀行は全額を回収できずに、最終的には債権放棄で銀行側が泣くケースが多いように見えます。そして、債務者はといえば、自己破産したはずなのに、今まで以上に悠々自適に生活を続ける元社長も多くいます。ナニワ金融道のように、借金が払えなくてとんでもないことになった、という話は、コンプライアンス遵守のまともな金融機関からの借り入れのみしかない場合にはあまり聞きません。

 次の章では、自宅用、投資用、その他に分けて、それぞれ具体的に融資を得る方法を解説します。


2013/11/07更新