[7-3] 住宅ローン(変動金利・その他)

 銀行プロパーの変動金利はサラリーマン向けです。私のような投資業、ほか、何をやっているのかよく分からない業種の人には、仮に金融資産がたくさんあっても、銀行は住宅ローンを出したがりません。

民間金融機関からプロパー住宅ローンを受ける際に必要な書類

銀行により若干異なりますが、代表的には次の書類が必要です。

[本人属性資料]

・本人確認資料(免許証のコピー)

・収入確認資料(源泉徴収票)
 通常は1期分、1月~3月に借入の場合は2期分必要なことも
 夫婦で借り入れる場合は奥さんの分も

・既存借入の返済予定表

[不動産関係資料]

・物件の販売チラシ

・土地、建物登記簿

・土地公図、実測図

・売買契約書ひな形(通常、重要事項説明書は不要なことが多い)

・建物間取り図

[更地に新築する場合]

・建物価格見積書

・建物建築ラフプラン

更地を買ってから建物を建てる場合の注意点

 更地を買ってから建物を建てる場合、先に更地の契約をローン特約ありで行い、その後、建物建設の契約をすることとなり、売買契約が2本に分かれます。しかし、銀行は土地建物を一体と見なしてローンを出します。

  ここで問題となるのが、融資が満額出ないケースです。例えば、土地5千万円、建物新築5千万円というプランだった場合、ローンは1億円必要となります。支 店レベルでは1億円融資OKだったものが、万が一、本部審査で9千万円しか貸し出しできないとなってしまうと、土地は買えてしまいます(ローン特約キャン セルできない)が、建物の建築代金が不足してしまうため買主は困ります。更地に建物を新築する場合は、ローン借入の確実性に注意しましょう。

  土地の売主が親切であれば、建物価格も含めたローン合計額を土地売買の際のローン特約金額に設定することで、この問題を回避できますが、土地の売主が業者 であったり、買付が何本も入る土地の場合は、土地単体の価格を上回るローン特約が受け入れられないこともあるでしょう。

建物を建てる際のつなぎ融資

通常、更地に建物を新築する場合、建設会社からは、次表のような着工ステップ毎に分割払いを求められます。

設計契約時  5%
工事契約時  25%
上棟時  45%
引渡時  25%

 しかし銀行のローンは、引渡時に一括で融資を受けることが前提となりますので、この分割払いに対応する、つなぎ資金が必要となります。そこで、金融機関各社は、通常、つなぎ融資という名目で別の融資を提供します。初期費用は金銭消費貸借契約書の印紙代(数万円)のみ、金利は2-3%、期間は6ヶ月から1年以内、追加の自己資金はなし。というのが一般的な条件です。

 欧米でもコンストラクションローンという名称で、建設期間中のつなぎローンを本来のローンよりも高利(10%×3年など)で調達することはよくあります。金融機関が、つなぎ融資にも対応しているかを確認しておきましょう。

[後日に必要となる書類]

・申込者本人の印鑑証明2通+奥さん1通

・夫婦の住民票を各1通(計2通)

・夫婦の納税証明1期(または2期分) 所得税その1(納税額等証明用)、所得税その2(所得金額用)、都民税区民税

 納税証明の取得は多少面倒です。というのも、所得税は税務署、都民税区民税は区役所に行かなければならず、2カ所を訪問する必要があるためです。委任状があれば、委任者の納税証明も所得できますので、旦那が委任状を書いて所得は奥さんに任せるという人も多いかと思われます。

都民税区民税はこちら 納税証明について/豊島区
http://www.city.toshima.lg.jp/zei/zeikin/27773/002957.html
所得税その1・その2はこちら 豊島税務署
http://www.nta.go.jp/tokyo/guide/zeimusho/tokyo/toshima/index.htm

個別金融機関の概要

【住信SBIネット銀行】

・自己資金:1割程度?

・融資手数料:2.1%

・金利:変動35年で実質1.15%程度(団信込み)

 ネットで申し込む際に年収と借入希望額を入れると「ご返済の負担がやや大きいように思われます。」「ご返済の負担は概ね問題がないと思われます。」「お借入希望額と年収のバランスはとれていると思われます。」の3種類のアドバイスのどれかが、すぐに診断されます。

  その後、個人情報を入力して送信すると、2日くらいで仮審査OKという通知がメールで届きました。その後、郵送で本申込書が送られてきて、それに必要書類 を同封して返送。融資手数料2.1%必要です。融資手数料は5000万円×35年で年率換算すると0.129%相当くらいですが、繰り上げ返済なども考慮すると実質は0.2%程度の実質的な金利アップとなります。

 ネット銀行だけあって変動金利に限定するならば、総合的に見て条件は良いのですが、非常に混んでいて私が申し込んだ際には回答まで1ヶ月以上かかり、融資特約の日までに回答を出してこなかった唯一の銀行でした。

【新生銀行】

・自己資金:1-3割

・借地権:×

・融資手数料:無料

・金利:変動35年で実質1.3%(団信込み)

  既定の条件に合わない人は機械的に振り落としている感じのオペレーションです。電話オペレータの人に定量的な振り落とし質問をいろいろとされました。融資可能性は返済比率を見ているようです。35年で年収の6.5倍程度までとのこと。金利は4%程度でシミュレーションしている模様です。基準金利は短プラ連動とは限りません。

 ネットの比較サイトに出ている変動1.1%で一番安いというのは最初の半年だけでそれ以降は1.3%とのことです。(基準金利1.7%(2010/08/20現在)の場合) まあ、それでもまだ安いですが。ネットの比較サイトもそのまま信じると危ないなと思いました。

【HSBCプレミア】

・自己資金:最低1割

・融資手数料:7万円

・金利:変動35年で実質0.9%(団信加入は任意。ただし、HSBCプレミアの基準を満たす必要有り)

 HSBCでも顧客向けに住宅ローン融資をやっていました。顧客になるには最低1,000万円相当の金融商品か現金を口座に維持しておく必要があります。下回った場合は月5,000円の管理料がかかります。

 東京スター銀行と同じく現金預金残高には金利がかからない(外貨も時価評価して金利相殺対象)契約方法(預金連動)有り。(曰く、この方法はスター銀行ではなくHSBCが元祖とのことです) 

・預金連動の場合は変動で2.49% 預金連動なしだと0.9%と悪くないレート

・団信は入っても入らなくても良い。ただし、入らない場合は連帯保証人が必要

・団信はローン残高100万円あたり239円(0.2868%/年相当)

・融資実行手数料7万円

・所得は3年間の平均を見る。社長の場合は会社の決算2期分必要

・住宅ローン融資は売買金額の9割まで

繰り上げ返済の時に返済額の1.05%ペナルティが発生する。途中で売却する予定がある場合はこれは重い。満期まで繰り上げ返済しない予定なら良いと思います。

 HSBCには、一つすごい使い方があり、スター銀行と同じく、預金相当額には金利がかからない(団信の0.2868%/年相当のみ)なので、現金で買うつもりの人は、その現金を普通預金に入れて借りて買った方が得。住宅ローン控除(金利換算1%相当)に加えて、死亡時に団信が残債を支払ってくれる、なおかつ、普通預金は住宅の購入とは全く関係なく、普通預金として預けているだけなので、これも法定相続人が継承できる。ということは、死亡時に家も預金も両方相続できるという外資系が考えそうな裏技的な使い方ができる銀行でした。これはスゴイ。さすが外資系ですね。 なお、満額を預金しても抵当権は打たれます。

 たまたま運が悪かっただけなのかもしれませんが、担当になった人が、ちわっーす。ぶっちゃけー。みたいな若者ノリの人だったので資産運用をまかせるにはちょっとどうなのかなと思った次第です。

ポイント:HSBCプレミアの既存顧客&繰り上げ返済する予定ないという向きには最安金利です。ただ、問題は繰り上げ返済ペナルティ1.05%というところ。現金一括で買うよりはHSBCの預金連動を使った方が明らかによいです。相続のことを考えると、前述のようにうまい団信の使い方を提供しているHSBCは商品開発的に面白いです。

【東京スター銀行】

 基本的にプライム層ではない人たちへの融資です。金利は高めですが、けっこう面白い商品設計をしています。

  住宅ローン-団信加入(メンテナンスパック1または2)の場合は保証人不要。加入しない場合(メンテナンスパック3)は法定相続人を保証人に。団信なしの 最安プランでも基準金利2010/08/20現在 2.55%-キャンペーン-1.2%+メンテナンスパック30.3%=1.65%(変動35年)と、それほど安くはないが、普通預金相当額に金利が発生し ない(メンテナンスパック3費用0.3%は別途発生する)などユニークな仕組みとなっており、他で借りられない向きには悪くないレートかもしれません。

  なお、ネットには公開していないが、裏メニューとして、現金担保&抵当権設定無しという購入方法もあるとのことです。現金一括で買う予定の場合、物件相当 額の預金を積んで、スター銀行から実質借入金利0.3%で借入を起こして、1.0%相当の住宅ローン減税を取るという方法も完全に適法です。融資は物件価 格の9割または年収相応の返済比率のうちの低い方。年収1000万円の場合は6000万円程度まで融資可能な模様。自営業者の場合は決算書二期分必要。 (追記:HSBCと同じ仕組みでした。HSBCでは満額預金しても抵当打たないというオプションはないですが、こちらは応相談とのこと。)

 サラリーマン向けアパートローン-500万以上 2500万以内 3mTIBOR+4.0%預金連動型 +3.5% 非預金連動型 事務手数料15.75万円 最大20年 物件に第一抵当を設定しますが、家賃ではなく本業の給与収入のみでローンが返済できるか否かを審査基準としているとのことです。

 リバースモーゲージ商品- 日本ではめずらしいリバースモーゲージ商品。商品名は「充実人生」 住宅ローンは払い終えているが、何らかの理由でお金が必要なリタイヤ層向け。消費者金融などからの借入を「おまとめ」して不動産担保融資に切り替えというようなケースが多いとのこと。融資限度額の110%の第一順位根抵当権を設定。担保評 価は建物評価ゼロ、路線価×80%のみと厳しめです。事務手数料が年間10.5~12.6万円程度、毎年かかります。死亡時は相続人による現金弁済か、抵当不動産での代物弁済が選択できる。2010/08/20現在、基準金利0.496+2.8%=3.296%他のローンの借り換えの場合は +4.0%=4.496%とのことです。こちらも普通預金相当額には金利がかからない(事務手数料は毎年かかるが)ので、枠だけ取っておく的な使い方も可 能です。事務手数料も金利に換算すると実質4%以上で安いとは言えませんが、他での不動産担保ローンをおまとめするには悪くない金利かもしれません。

ポイント:他で借りられない場合はスター銀行へ足を運んでみる価値はアリかもしれません。根抵当を打って不動産担保の自由資金を得るという使い方も状況によってはあり得ます。

 HSBCと東京スター銀行はここに書いたように裏技的な使い方を提供しているというのが特筆事項でしょうか。これは住宅ローン以外にも不動産投資家の視点から見ても、相続対策、抵当の打たれていない不動産の活用など、多少の使い勝手はあるかもしれません。


2013/11/07更新