[7-7] 不動産投資ローン(積算評価とは)

 多くの銀行では、融資をする際に物件の積算評価を基準に物件の価値を推定します。近隣取引事例の時価ではなく、税務署が定めた積算評価を使うところが日 本の金融機関らしいところで、時にこの評価方法から算出された価格が実態に全くあっていないが為に地方のフルローン可能物件が生まれたりしています。

 投資家は、決して積算評価で物件のNAV(Net Asset Value)を推定してはいけませんが、銀行から融資を得るには積算評価と親しくなっておく必要があります。

積算評価の計算方法

 基本的には、建物の価値+土地の価値 というシンプルな計算です。

【建物の価値】

 建物は、平米あたりの建物の価値×床面積です。レンタブル比などは無関係です。

 基準となる価格(再調達価格という)は、銀行により異なりますが、木造13~15万円程度、RC20~22万円程度、鉄骨はその中間で17万円程度(いずれも平米単価)が一般的です。また、耐用年数は、これも銀行により微妙に異なりますが、木造30年、RC47年が一般的ですが、中には「うちはRC40年で評価するんですよ」というような金融機関も存在します。

 たとえば、延床面積500平米のRC物件、築10年であれば、一般的には、再調達平米単価20万円×500平米×(残存37年/耐用47年)≒7,800万円 が建物評価額となります。

【土地の価値】

  土地は様々な形状があり、税務上は不整形地の補正、複数道路に面する場合の補正などと言って、形が悪い場合はマイナス評価、複数道路接道であればプラス評 価となりますが、銀行の担当者が机上で算出する積算評価では、そこまでは計算されません。評価には、土地面積×相続税路線価(もしくは公示価格)を用いる のが一般的です。

 たとえば、300平米の土地(完全所有権)で前面道路の路線価が平米40万円であれば、12,000万円が土地評価額となります。

【掛け目】

  上記の下線部、例に挙げた土地と建物で言えば、建物7,800万円+土地12,000万円ですので、合計19,800万円の価値となります。では、その評 価を元に銀行から19,800万円を満額借りられるのかと言えば、銀行によっては、掛け目という減価が入り、評価額の80%が最大融資額などと決まっているケースもあります。

積算評価の未来

 この積算評価についてですが、どの銀行でも積算評価による担保価値算定をしているかと言えば、実はそうではありません。実際、りそな銀行などは積算をほとんど見ておらず、主にはNOI利回りを見ています。(2011年8月現在・筆者ヒアリングによる) これの意味するところは大きいと思っています。 日本の横並び金融機関だからと言って、積算評価で担保価値を算定せずに収益還元評価やその他のより実態に見合っている方法で担保査定をしても問題はないということなのです。

  この物件は、これと言って目立った特徴はないけど、積算評価が出るのが一番の売りだ・・・というような物件は、現在はローンが付きやすく売却もしやすいか もしれませんが、融資制度運用の変容に合わせて積算評価による担保価値算定という常識が見直され、「積算評価?確か2011年の不景気の時にはよく使われ ていたけど、今時あまり使われていないね。」となった場合は、ほしい人の少ない物件になってしまう可能性があります。

 融資や不動産を規制する法律を変えるのは至難の業ですが、その運用は金融庁や国土交通省のさじ加減で大きく転換する可能性があります。金融系の法律は特に、運用である程度の自由が利くよう、わざとガチガチの規定にはせず、解釈によりどこまで許されるのかが曖昧な作りになっています。それはリスクとして頭に入れておくべきです。どんなに運用が変わっても、この物件であれば間違いない、という物件を見分ける確かな目を養いましょう。


2013/11/07更新