[11-6] 太陽光発電(メガソーラー)

2013/11/07更新

グリーン投資減税と太陽光発電(メガソーラー)

 法人で不動産を売却して高額な利益を得て、税金対策を考えている人には特にお勧めできる投資対象です。

 太陽光発電の仕組みは、次のようなものです。はじめに、自己資金0~20%程度を入れて1,500万円(50キロワット)、2.7億円(1メガワット)、5億円(2メガワット)のいずれかの太陽光パネルを購入します。パネルや変圧設備など一式を合計した設備単価はキロワットあたり27万円以下が相場です。

 それをバブル期に大企業が仕入れて、現在は使われていない別荘用地などを年間100~200円㎡という価格で借地として借り受け、そこに機器を設置して売電収入を得ます。売電価格は、2013年度は20年固定価格でkWhあたり税別36円で全量買取が約束されています。

 また、グリーン投資減税という制度により、機器購入費用全額の初年度一括償却を選択できるため、投資額全額を本業の利益と相殺することができるという税制メリットがあります。さらに初年度で税務上の設備価値はゼロとなるため、保有期間中の固定資産税もかからないという特典まで付いています。この税制上の特典のおかげで、金融機関や監査法人の顧客が太陽光発電業者に紹介され、節税目的で購入する法人が多いのが特徴です。

  節税効果を考慮せずとも税引前6~7%のIRR(全額キャッシュ購入の場合)を見込むことができるという高利回りの投資商品でもあります。なぜ6%で高利回りかと言えば、都心では純利回り6%と同等の収益率である不動産に比べて大幅にリスクが少なく、国が約束を守ってくれる限りは、ほぼ損が出ない仕組みで あるからです。

 なお、電力会社は36円で買い取った電力を30円以下で家庭や企業に販売するため損が出る構造となっており、この損を埋めるために、たとえば東京都では再エネ賦課金として1家庭あたり84円程度の電気料金値上げをしています。大企業の節税に使われる投資商品の利回りを上げるために、一般家庭の電気代を値上げするのはひ どい。という声も聞こえてきそうですが、最近の日本には消費税以外にも社会保険料、電気代など、分かりにくいところ、騒がれにくいところで、しっかり確実に増税しているというパターンが多い気がします。

メガソーラー発電事業のリスク

さて、話がそれましたが、このように不動産と大きく変わらない利回りにもかかわらず、税効果あり、優遇条件の借入によるレバレッジあり、空室なしと良いことずくめの太陽光発電ですが、リスクはないのでしょうか。それほどのリスクはなさそうだと見てはいますが、いくつか考慮すべき点もあります。

  ひとつは、機器が故障したときに製造メーカーが倒産していると保障を受けられないという問題です。無名の外国製機器を購入する際には、製造元が20年間存命できるかも考える必要があるでしょう。太陽光パネルは世界的に過剰生産気味で価格が下落しており、メーカー各社の利益が出ていない市場であることも知っておきましょう。

 もうひとつはインフレリスクです。太陽光発電は固定金利の20年国債と似たような特性の投資商品ですので、インフレで 物価が上昇すると、相対的に36円固定という売電収入が見劣りし、投資プロジェクト全体の価値が下がってしまいます。また、不動産と違い、太陽光設備の売 買市場は未整備ですので、途中で誰かに売却して出口を迎えるというのは簡単ではないはずです。そして、不動産とは違い、太陽光パネルの価値が値上がりすることはあり得ませんので、出口価格は確実にゼロとなります。

 ただし、20年国債のIRRは税引前1.67%(2013年8月21日)で すので、それと比べても税引前IRR6%という悪くない超過リターンであり、かつキャッシュフローが非常に良い投資であるため前向きに検討できると思いま す。そもそも太陽光発電は国策ビジネスですので、他の投資よりも有利な条件であるのはある意味当然でしょう。

 さらに、マイナーですが重要なリスクがこちら。

 500kW以上の規模で発電する事業者から太陽光発電の電力を買い取り際して、発電量が多すぎて需要家が少ない場合には、年間30日間まで出力抑制(買い取りしない)期間を設けることができるようです。つまり、20年間、買取価格は固定されるが、買取量は抑制される可能性はリスクであるということです。買取期間抑制リスクは、あまり認識している人がいないので要注意かもしれません。

  また、北海道では、全国の太陽光発電所の25%が集中する割に需要家が少ないことから、現在は30日となっている買い取り停止期間を増やすことも検討されています。さらに、北海道においては、今後は2メガ以上の特別高圧発電所に対しては、蓄電池の取り付けを実質的に義務化し、発電時間を分散するような体制 にするようです。これは、投資利回りの低下につながります。


出典:北海道電力「北海道における大規模太陽光発電の接続についての対応」

 買取量の抑制は過去に太陽光バブルが発生したスペインでも行われていました。日本でも、同じ場所に発電所が集中してしまうと、買取抑制をせざるを得ないでしょう。

 今後は、すでに十分な供給が確保されている、北海道、沖縄、鹿児島あたりに新規設置するのは危険かもしれませんが、それを差し引いても、まだまだ太陽光発電の利回りは魅力的です。買取価格42円のプロジェクトを組成できるならば、投資妙味があるでしょう。

 さて、手頃な50キロワット以下級を試してみたいと思った読者も多いかもしれません。このレンジは1,500万円程度で開始することができ、さらに信用金庫などから満額に近い融資を受けられるため、少ない手持ちで始めることができます。

  ただし、このような小型案件を実際に保有している人に聞くには、監視カメラを付けたり、防草シートを引いたり、それなりにお金がかかり、法人の維持や税務など、管理に手間もかかる割には年間の発電は200万円程度とのことです。やはり不動産と同じで、ある程度の規模感がないと手間をかけずに高利回りというのは難しいようです。太陽光発電は1メガワットを超えるプロジェクトに融資を付けることができれば投資妙味があると言えそうです。

 太陽光発電について、ひとつ上級者向けの注意点を述べます。借入を起こすと税引後のIRRは20%を超えることもありますが、最後の売却価格はゼロで保 有期間中のキャッシュフローが多く出る投資ですので、IRRは高めに算出されることに注意が必要です。IRRのみならず、安全利率ゼロのMIRRやキャッ シュフロー総額を計算し、キャッシュフローの再投資をしない前提での収益も試算すべきでしょう。おそらく再投資なしでは、借入の条件にもよりますが 7~9%複利程度の利回りとなるはずです。

※下記は2014年1月12日追加

太陽光発電(週刊ダイヤモンドに情報提供した時のメモ)

□太陽光発電の背景

温室効果ガス削減への取り組み、また、化石燃料は原油価格等のマーケット要因で価格が高騰する可能性があるため、再生可能エネルギー(太陽光など)の必要性

□買取保証制度と一般家庭負担により約束される超高利回り

政府の肝いり事業として2012年7月1日より、固定買取制度がスタート。「施行後3年間(平成24~26年度)は、利潤に特に配慮する」と法律で定めら れており、国策により利益を上げるチャンスでもあり、バブルでもある。最初にこのバブルに乗ってしまえば20年間の権利が確定。

電力会社は42円(kW/h)で買い取った電力を20円程度で販売するため損が出る。この損を埋めるために、再エネ賦課金という名目で、電力会社から家庭への請求書に載せて請求されている。実質的に、投資家の得る超過利潤を一般家庭が負担する構造に。

42円で買取の場合、借入によるレバレッジなしでもIRRは税引前6%程度と高利回りである。借入を起こせば数十パーセント(!)の超高利回りの投資となる。

さらに、太陽光設備購入費用の数億円が当期一括損金となる「グリーン投資減税」の効果もあり、「10億の利益が出て法人税を4億払うより、自己資金1億(残りは借入)で10億の太陽光を買って税金をゼロにした方が確実に得」という状況が生まれている。

□家庭の屋根に付ける太陽光発電とメガソーラーの違い

買い取り価格は同じ42円だが、買取期間が家庭用10年、メガソーラー(50kW-2MW)は20年という点がポイント。最初の10年で初期投資を回収し て、残りの20年が収益というシミュレーションのため、家庭用に投資妙味はなく2MW級が最も費用対効果が良い。

また、規模が小さいと固定費がかさむためうまみがなく、規模のメリットも享受できるのは1MW程度以上。

スペインの太陽光発電バブルと崩壊

□太陽光バブルに死角はないのか

海外ではスペインの太陽光バブルとその破綻が有名。2007年から2008年にかけて太陽光の固定買取制度によるバブルが発生。一年で4000MWもの新 設があった。スペインでは、電力会社の販売価格と買取価格に10倍もの開きがあったため、破格の高額買取×大量の新規設置であった。

「2011年10月19日(ブルームバーグ):(スペインでは)太陽光発電による電力について1キロワット時当たり最大44セントの料金を25年間にわたって保証した。07年の大手エネルギー供給会社の電力卸売価格の平均は同約4セント。その10倍以上の価格だった。」

そのため、電力会社の逆ざやを埋めるために多額の税金投入が必要となり、2008年には早くも買取価格を32セントに下げざるを得なくなった(※1新設設 備に対する価格変更であり既設は以前に確定した買取価格のまま ※2日本でも来年の改正では32円税別での買取価格となりバブル終焉を予見する声が多い)

※訂正
「32円」は業者予想のコンセンサスであり確定していない。平成25年11月18日 の経済産業省資源エネルギー庁
http://www.enecho.meti.go.jp/info/committee/kihonseisaku/10th/10th-6.pdf
によれば、32円ではなく「34円税込み」になる見通しのようです。

それだけでは不十分で、既設の設備に対しても条件変更が遡及的に強行され、2008年には、既存設備に対して約束した買取価格はそのままながらも、買取時 間数を制限することにより、実質的に投資家への支払を減らすこととなった。(※その見返りとして買取期間を25年から28年に延長)

日本でも買取時間数が制限される可能性は法律に明記されている(が、知っている人は少ない)

□太陽光バブルで土地ブローカーが潤っている

スペインのバブルでも同じことがあったが、日本でも発電事業の申請と許可の取得のみをして、実際には発電せず、その高額な買取価格の約束された発電事業権 を転売するブローカーが多数現れた。この事業権は1MWあたり1000万円程度(42円買取か38円かによって価格も異なる)で「権利金」という名目で転 売されている。

ブローカーの多くは元不動産屋だと思われる。(※田舎の土地を仕入れることが要となるビジネスであるため、不動産業とは相性が良い。この田舎の不動産屋上 がりのブローカーのマナーが悪いため、また、イケイケ営業会社が多いため太陽光にダークなイメージがつきまとう?)

太陽光発電のリスク

□太陽光投資にリスクはないのか

「発電用に仕込んだ土地がヤクザがらみでトラブルになっている人がいるが、その人は、トラブルに対処しつつも並行して他の土地を探している」(太陽光発電 へ融資をするノンバンク)というくらい、おいしいので、多少のリスクを考慮しても十分にうまみがある。という認識。

基本的には20年のうち最初の10年で投資回収できるので、最初の10年の間にトラブルがなければ損は出ないはずである。

あえて言うならば、

-契約リスク-

・電力会社、地主との契約や発電事業の権利などがウソで詐欺の可能性(ただし、借入を起こす場合は金融機関もチェックするので、基本は問題ないはず)
・バブルが加速しすぎて供給過剰となり、国や電力会社の方針が変わり、買取制度が事実上、変更される場合。特に北海道と鹿児島には、電力需要が少ない割に太陽光発電設備が集中(この2県だけで全国の37%)しているので注意。
・土地を借地で借りる場合、土地の所有者とは20年間の付き合いとなるため、期間中のトラブル
・土地所有者の破産による借地権への影響(法律上は影響なしとなっているが)

-経済的なリスク-

・バブルに乗せられて、高値で買いすぎて20年間運用しても結局儲からない(素人投資家で収益試算をしない人は要注意)
・20年間、買取金額は固定なのでインフレには負ける
・借入は15年間の固定金利が多いが変動で借りている場合は金利上昇に負ける

※これらは投資全般に対して言えることであり太陽光特有のリスクではない

-故障リスク-

・パワコン(高圧の変圧機器)は高額だが、メーカー保証が1年など短期の場合が多く、運悪く故障の際に大きな費用が発生の可能性
・パネルは製造元が20年間の性能保証を付けることが一般的だが、パネル製造元が20年の間に経営破綻などでメーカー修理が受けられなくなる可能性(ただ し、電力会社との買取契約さえ生きていれば、たとえば10年後にパネルの一部が壊れても、10年後のパネル単価は、今よりも十分に(日経エレクトロニクス 誌(2011.12.26号)の予測では半額程度に)下がっているので多少の追加投資で済むはず)一方、私見ですが、パネルは技術進化で安くなりますが、 パワコンなど高圧変換系は成熟した技術であるため、何年たっても安くならないと思われます。

-運営上のリスク-

・パネルの盗難など基本的な損害は損害保険でカバーできるが、カバーできない天災などが発生した場合(どのあたりがカバーされないのかは不明です)

やはり太陽光が注目されている(断片的な取材メモ)

・欧州系PB担当も「みんな太陽光と言ってますね」とのこと。

・当初は、1メガあたり2.7億円程度だった購入費用も人気殺到により3億円を超えるくらいまで上昇。

・昨年度に権利確定した42円買い取りの契約(今から申請すると38円)には「権利金」という名の高額なブローカー手数料が課せられるが、それでもまだ十分に儲かる

・オリックスなどは、メガソーラーを自社で作り、区分化して個人投資家に販売しているが、販売単価が高すぎて、よくよく計算すると利益は出ないが、グリーン投資減税による一括償却ができるため、とりあえず今期に税金を支払いたくない筋から人気がある。

・太陽光のポイントは土地。パネルは余っているが土地がない。土地を持っている地主と交渉するには、「この人(個人名)はすでにローン審査もOKになって いる確度の高い人なので、是非契約してほしい」と頼まなければならないため、購入者は、案件の詳細を知らされないままローンの申し込みや手付金の支払いを させられることも。それでも申し込みが殺到するくらい需要は旺盛で売主が強い。

・土地は売買と20年の定期借地がある。

・太陽光の買い取り価格は年々下がっており、投資妙味があるのは来年が最後。つまり地方の遊休地バブルで価格が高騰するのも、あと1年間のみ。と言われて いる。そのため、地方の土地持ちは定期借地ではなく売却を希望している人が多い。土地持ちも、太陽光以外には何の価値もない土地であることは理解している ので、今のうちに高く売ってしまいたい。

・最近では、同じ村の人が太陽光用地として農地を高く売却したという噂を聞きつけ、自ら土地を売りに来る土地持ちもいるとのこと。

・さらに最近では、融資付けにもブローカーが付き、誰でも太陽光を購入するための融資を付けてあげる代わりに手数料を数千万円ほど要求。法外な手数料では あるが、それでもまだ太陽光からの利益で十分に支払ができるので、申し込みが殺到、ブローカーも儲かっている。

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