[E8-2017] エストニア(eエストニアと不動産)

エストニアとは

エストニアは北欧フィンランドの首都ヘルシンキからフェリー船で2時間の場所にある国です。町並みは旧ロシア圏という感じで、ロシア系の人たちも多く住んでいます。
人口が130万人と少ないことも知っておくべき特徴です。


首都タリン旧市街

気候はフィンランドなどと同じく、寒い。暗い。乾燥する。冬場はマイナス20度くらいになる。つらい天気が続きます。
私が訪問した初冬の日照は9~16時頃までが明るかったですが、明るいといっても日本基準では暗いです。

2004年にEUに加盟し、2011年から通貨がユーロになりました。シェンゲン圏なので欧州パスポートの人は自由に住んで、働けます。
というより、物価の安いエストニアから他の北欧、欧州国へ自由に出稼ぎに行ったりできます。

物価は、中心部でも日本の地方のスーパーマーケットくらいの価格感です。日本人からすると「安いと言えば安いけど、うちの近所の特売と変わらないかな。日本のAmazonのほうが安いかな」程度ですが、北欧から来る人にとっては、半分以下の価格感だと思います。
この価格の違いは、現地ではどのように理解されているのか不思議です。
「お父さん。なんで車で2時間行っただけで、エストニアはこんな馬鹿みたいに物価が安いの?」と聞かれたフィンランドのお父さんは、なんと答えているのでしょうか。

2017年のエストニア給与全体平均は1,242ユーロ/月,首都タリン以外の地方都市は800ユーロ、金融やITなど上級な仕事で2,000ユーロです。ヘルシンキに比べて1/3くらいです。
コンピュータが得意で英語ネイティブレベル。という人にしては、人件費が安いです。

文化的には、宗教には熱心ではない。残業しない。外食しない。飲みに行かない。共働き。
遊ぶところがないのでつまらないという声も(ウクライナの出稼ぎITワーカー)


屋根のつぎはぎ修繕に歴史を感じる

eエストニア。驚きの国家戦略

日本においてエストニアが有名になったのは、eエストニアのPRによるIT大国宣言でしょう。
IT国家の基礎を作ったのはイルベス大統領という前大統領です。資源国ではないので何か策が必要だったともいわれています。

日本では「国家に必要なのは領土ではなくてデータ」「万が一、領土が侵略され奪われても、データがブロックチェーン上に存在すれば国は生き続ける」というような、次世代なキャッチフレーズが人気を博しています。
個人的にも「なんて斬新でユニークな国だ」と思い、興味を持ちました。
※エストニア最大の脅威は、ロシアに領土を侵略される心配なのだそうです。

実際には、原文は誰がどう言ったのが曲解されたのだ??という指摘もありそうです。
現地の公的機関にも話を聞いたところ「エストニアはPRがうまい国」とのことで、結論的にはPRに引っかかってしまった感もありでした。
やはり、米国のGoogleや軍事機関のほうが最先端かもしれません。

eエストニアで何ができるのか

国民IDカードだけで、いろいろできます。
ネットバンキング、Suica的な交通系電子チケット、ネット選挙、契約の電子署名、公証人の手続き、病院の処方箋、健康管理記録、自動車関連記録などができるので、
運転免許も不要です(IDカードに機能として入っている)
役所で住民票を取得して他の役所に提出。という無駄もありません。すべてポータルの画面からできます。携帯のSIMカードにも国民番号が入り、携帯アプリ上でも公に本人確認ができるとのこと。

情報公開は異次元です。
ネット上でエストニア国民や企業を検索し、ビジネスをしている人ならばレピュテーションの評点、借入の有無、税額などが表示されます。とてもオープンでクリアです。
将来的には、税金は指定のソフトで入力してデータを政府に開示すれば申告不要。総勘定元帳は非開示で結果のみ自分で申告するかは選択制。開示する場合、他の開示した人の平均売上げなど競合データを取得できる。そんな次世代サービスも実現間近とのこと。

このシステムが導入される前は、兵役の記録を紛失されてもう一度兵役に行かされた。などという話もあったそうです。

しかし、こんなeエストニアも、最初は日本のマイナンバーと同じく不評で利用者も少なかったとのこと。しかし、オンラインバンキングとetaxが便利だったので利用者が増え、利用者が増えたのでアプリが増えた。そんな好循環が実現したようです。

概要はeガバナンスアカデミーというところから有償ダウンロードできます。
http://www.ega.ee/publication/e-estonia-e-governance-in-practice-2/


なぜか相当に古い写真。eガバナンスアカデミーの資料より。もちろん現在は日米欧と同じハイテク機器を使っています。

高齢者対策

さて、IT窓口は高齢者にはどのような使われているのでしょうか。

じつは、エストニアには電子と対面窓口の両方があります。しかし、対面窓口は補助的な意味合いであり件数も少なく、家から遠いし高いので、ネットでやった方が安くて早い。そのような棲み分けと電子化の動機付けがされています。

eエストニアのシステム開発

eエストニアは国主導プロジェクトですので、NTTデータのような公務員的な企業が作っているのかと思いきや、
実装と運用は、Nortal,ガードタイム、ヘルメス、サイバネティカなどの民間企業であり、民間の感覚で機能が追加されたりしているとのこと。

民間が作っているので、民間のシステムともつなげやすく改善アイデアも出やすいとのこと。日本の行政にはこの発想はありませんね。明確に官と民は分断されている。
ポータルのログイン画面も民間的なデザインです。

オール電子化ならではの問題点

しかし、電子化ならではの落とし穴もあるようです。
処方箋が不要なのは便利なのですが、IDカードに処方箋を入力し忘れる医者がいて調剤薬局でトラブルになることもあるそうです。紙の処方箋の方が有能なことも。

そして、極めつけは2017年秋。
電子署名機能にセキュリティの脆弱性が見つかったため、eレジデンシーの新規受付を停止しています。
ITの人は「日本の行政も、ぜんぶ電子化すればいいじゃん。紙と鉛筆のアナログ処理は効率が悪い」と考えがちですが、じつはオール電子化は、Windowsアップデートを続けないとパソコンごと乗っ取られる危険。攻めと守りのいたちごっこが永遠に繰り返される。というのと同じ非効率があるのでした。
私もこの話を聞いて、なるほど。と新たな気づきでした。

ここまで情報がひとつに集約されていると、いろんなデータ分析に使われ、Tポイントカードを強制的に持たされている状態みたいにならないのかと心配ですが、各データはX-Roadというシステムにより一元的に縦覧できるというだけで、保管されているのは、別々の場所、別々の管理者なのだそうです。

そのため、役所の人が勝手に個人情報を縦横無尽に吸い取ることはできないようになっています。
また、何らかの理由で自分のデータが参照されたときは、誰が参照したかをチェックできるシステムになっているとのことです。おそらく、そのあたりの信憑性がブロックチェーンにより担保されているということではと思います(どこにデータが保存されているのかはよく分からない)

eレジデンシーのうまい使い方

eレジデンシーは、登録すれば誰でもエストニア市民になれる制度です。
登録はオンラインで簡単にというわけにはいかず、大使館で比較的きちんとした手続きが必要です。

また、これを取得すればエストニアに住める(居住権)わけではなく、ビジネスをするためのエンティティ(法律上の実態)を得られるという感じです。
つまり、私の国籍は日本人だけど、正規のエストニアの会社です!と名乗れるわけです。

そんなことをして、何の得があるのでしょうか。正直、日本人にはあまりメリットはなさそうです。
しかし、ウクライナ人などはエストニアで法人を建てた方が、イメージの悪く制裁的な規制の多いウクライナの会社として欧州と取引をするよりもやりやすい。
というローカル事情を中和する役割があるのだとか。

もちろん、税金も欧州や北欧より安いので、日本人富裕層が税務上の籍(タックス・レジデント)だけシンガポールに置いて、権利や投資からの収入(社長がどこの国にいてもできるビジネス)は日本に申告しない。みたいな話と似ています。

ちなみに、エストニア発行の無国籍パスポートというのもあるそうです。
ロシアパスポートだとエストニアを含めEU圏で制裁的規制がかかりやりにくく、エストニアパスポートだとロシア圏でやりにくい。
どちらでもない無国籍だと、エストニア(EU)とロシアを行き来する商人には便利。
世界には、いろいろな制度があるようです。

物理的な居住権

電子ではなく実際にエストニアに住む居住権については、3種類のメニューがあります。

1)60,000ユーロ以上の投資をしている。個人であれば16,000ユーロの投資。投資は社債や固定資産など。
2)スタートアップビザ(条件は明確ではない)
3)100万ユーロの経済投資などをおこなった場合。
https://www.politsei.ee/en/teenused/residence-permit/tahtajaline-elamisluba/ettevotluseks/index.dot

どうやら、比較的、簡単に取れるようです。
個人で1.6万ユーロ(200万円)であれば、先進国の人なら誰でも取れるといえるレベル感です。

エストニアの経済と税金

エストニアはほとんど対外債務がないとのことで、資源が出て儲かっているのかなと思いきや、
オイルシェールの石はとれるが輸出するほどではない。自国の火力発電は8割をまかなえる。という程度のようです。

なお、北欧全般に言えますがエストニアも同じく、どこでもクレジットやデビットカードが使えるので現金はほとんど使いません。

エストニアのビジネスモデル

では、人や土地の提供で役務受託ビジネスモデルなのかなと思ったところ、エストニアには工場が作られるが、人が少ないので大規模な組み立て工場などは作れない。最大の企業でも2千人。600人なら大企業とのことです。

エストニアは製造業がメインだが中間財の製造が多く組み立てなどが多い。最終製品をは作っている現場は少ない。IT機器のヨーロッパ向けサポートセンターやバックオフィスが作られることなどはある。とのこと。

いまひとつ、どこで稼いでる国なのか分かりませんでした。

一方、行政や銀行でも窓口にほとんど人がいなくて、いろんなものが低コストで運用できている。国としての儲けも少ないが人口も少なく効率的なので低コスト。それで成り立っているのでは。という話も。

ほか、ウクライナから移民が来てブルーワークをしている。
多くの人が副業をしており、プロジェクト単位の仕事。会社への帰属意識はない。会社の責任を担当者が詫びる文化ではない。
とのことで、このあたりは、日本もこんな感じになっていくのかなと想像します。

好景気とEU支援の関係

ユーロ導入とEU支援資金で景気も良く、人口が少ないので人が足りない。人を入れたい。とのこと。

EUはインフラも面倒を見てくれます。大きなEU支援プロジェクトとしては、
Rail Baltic = ヘルシンキ→エストニア→ラトビア→リトアニア→ポーランド→ドイツベルリン EU地域を鉄道でつないで行き来をスムーズにというプロジェクト
85%はEU出資で建設資金は返還義務なし。2025年完成。
ヘルシンキとの海底トンネル = 2030年完成。85%をEUが負担
小さなところでは、街中を走っているトラム(都電荒川線みたいな電車)もEUが出してくれたそうです。

EUからはビジネス助成金も出ます。Horizon2000という支援プログラムでは、EU域内のビジネスに対して補助金を出しており、複数の国の人で共同プロジェクトを作るとお金が出やすいとの噂。

結局のところ、小さい国はEUに加盟すると、支援してもらえることが多く、お得なようです。
エストニアにとってロシアの侵攻は最大の脅威ですが、現在はNATO軍が駐留したり安全保障コストをすべてEUが出してくれるのは、かなりありがたい。国民もEU支持とのこと。

一方、2020年からはエストニアが先進国的扱いとなるため、EU支援が縮小されることが決まっています。
現在のエストニアの好況業種は公共工事を含む建設業であるため、景気はどうなるのか。EU支援縮小による2020年以降のダウンサイドリスクが心配されています。

ロシアとの関係

日本人からすると難しい話ですが、どうやら欧州ではロシアは悪役のようです。

エストニアは、旧ロシア領ですが、じつはロシアとの取引はそれほど多くないので、ロシアに経済制裁が入った場合でもエストニア拠点にしておけば(ロシアとの取引が多い)ラトビア、リトアニアよりも安全。という選ばれ方もしているようです。

エストニアと言えばスタートアップ企業

日本の渋谷系ITスタートアップとは違い、技術ベースのもの、世界全体を対象としたものが多い様子です。
エストニアは市場規模が小さいのでそもそも国内向けという発想はないとのこと。渋谷の人たちも頑張ってほしいものです。

私はスタートアップはそれほど興味がないので簡単に。

一番有名なのは、スカイプを作ったのがエストニアであること。スカイプのexit組が第二のビジネスをやっていたりするようです。日本では知られておりませんがtransfer wireという海外送金のマッチングサイトもメジャーだそうです。

Lingvist 楽天が出資
funderbeam スタートアップ専用のクラウドファンディング的なもの
jobbatical 条件を入れると世界のどこで働くといいよ。というお勧めと求人情報
startup estoniaというサイトで、いろいろ紹介されているそうな。

ほか、Lift99, Spring hubなどのコワーキングスペースでもスタートアップイベント多数。
ICTアソシエーション(エリクソンなど参加)などの団体に言えば大企業や投資家に簡単につなげてもらえる。
タリン工科大学を母体とするMektory(メクトリー)、Tehnopol(テクノポール)などの公的支援団体あり。

ほか、スタートアップ支援については下記を見るべきとのことです。
Estonian Information System Authority: https://www.ria.ee/en/
Enterprise Estonia – EAS https://www.eas.ee/eas/?lang=en

eエストニア・ショールームでも、一通り話を聞いたあとに担当が付き、スタートアップについて質問はあるか?とのことでした。
エストニアは、スタートアップを支援するエコシステム(企業・投資家とのコネクションやコミュニティ、支援体制)が構築されているのが良い点だ。と言っていました。
一方、経済や不動産の話はよく知らん。とのことでした。


なお、最近はeエストニア・ショールームはVIPやグループonlyで、個人での申し込みはできないとのこと。
私は人づてで英語の履歴書を提出して、ようやく入れてもらえました。

ライフライン

多国間で電力売買ができるようになっており、北欧に対して売ったり買ったりしているようです。確かに欧州では電力も上場商品だったりしますね。

ガスはロシアからパイプラインで来るとのこと。ラトビア、リトアニアにもガスの貯蔵センターがあり、それらと共同で新規にガス貯蔵拠点を作る計画あり。

エストニアの税金と社会福祉

みんな言うのは、物価と税金の高いフィンランドから税金の安いエストニアに酒を買いに来る。という話。
車ごとフェリーに乗って船で2時間。買い出しに来るそうです。

エストニアの税金は、ほとんどすべて20%と覚えておけば良さそうです。所得税20%、消費税20%、新築不動産にかかる税20%(物件価格に含まれる)
法人で利益を出しても社内留保の段階では非課税。配当などとして外部に流出するときに20%課税。これは面白いシステムです。


消費税20%と書いてある。非課税のものもある

本当は法人税は非課税にして、外国法人を誘致したかったのではないかという見方もできますが、EU基準でそういうことはできないので、こうなっているのかな?とか。
マルタ(EU)でも一度EU基準の高い税金を払うけど、なぜかあとでキャッシュ・バックしてくれる。など謎のシステムがありました。

自動車の税金がないので新車登録台数が増えている。とのこと。

Estonian public broadcaster ERR reports that the current benefits amounting to 50 euros a month per child for up to two children and 100 euros for the third child will remain in force, the total family support for families with three or more children reaching 500 euros a month.
子どもを3人生むと月500ユーロもらえます。首都タリンはともかく、田舎は物価も給料も安いので効果があるそうです。

エストニアの税金 政府税制調査会海外調査報告(エストニア・スウェーデン)

http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/zeicho/2017/29zen10kai7.pdf
ここが参考になりました。このレポートを作った人は、調査の切り口がなかなか良いと思います。下記引用と私の意見。

・電子申告の場合は5営業日以内に還付が受けられること等の理由から、 電子申告割合は 95%(2013 年)。法人税、付加価値税については、一定の要件の下、 電子申告が義務化されており、電子申告割合は両税とも 99%(2013 年)

・IDカードは、民間会社のポイントカードとしても使用できる →官と民の境界がないという点で日本人には斬新

・電子化推進の際の原則として、①デジタルバイデフォルト(電子手続を原則とし、紙による手続は例外とする)、②ワンスオンリー(一旦提供された情報を再度要求しない) →これはいいポリシーです。

・地方税は、地方自治体が独自に課すことができるが、実際にはごく僅かしか導入されていない。自治体にとって、企業の流出は大問題であり、自治体は新税を導入しない傾向にある。文化がほぼ同一であるため、地方財源である土地税を国税庁が一括して徴収するのは合理的と考えられている。 →玉川意見としては日本もそうした方がいいと思います!

・申告期限の2日前に、SMS(ショートメッセージサービス)・電子メールにより自動的に通知が送付される。 →すごい

・(前に説明した総勘定元帳提供で自動的に税金計算してくれる機能→)ダイレクトリンクによる納付件数は全体の 10%程度で横ばいである。 →やはり全自動は良くないのだと思います。コンピュータの設定で全自動を選択して、いい結果が出ることは少ない。

・国税庁は、8人の電話相談体制、チャット・フェイスブック・ツイッターによる相談 →このあたりはいいと思います。日本では「正式な回答は税務署へ来所してください」「記録は残せないのでメール不可」など、考え方が昭和です。

・納税者(法人・個人)は自らの税務情報が記載された証明書(納税証明書に類似)を XML 形式で入手可能。 →そうなるべきですね。税金とXMLは相性がいいと思います。

・2014 年から、国税庁において、法人・個人事業者の納税額等を、法律に基づき公表。現在は、個々の納税額・源泉徴収額・売上高・従業員数・業種・住所等を公表。これらの情報は個人情報に該当しないという考え方である。 →これは個人情報とは何なのかを再定義させられる強烈な方向性だと思います。

・税務調査の選定は 2000 年頃よりほぼ自動化しているが、 →ロジックで自動判定して税務調査先を選ぶようです

不動産を買った人をシステムで自動的に見つけているのに「不動産取得を自己申告してください」など郵送しているアナログ日本とは大違いです。
ワンタイムパスワードと三菱東京UFJ銀行のアカウントを日本国民全員に持たせ、銀行のログイン画面から、すべての手続きができるようにすればいいと思います。

旧ロシア、東欧へのハブとなれるか

シンガポールはアジアのハブ。ドバイは西側から中東に入るハブ。小さな国が潤う作戦として、地域ハブという国策があります。

エストニアは、現在はIT大国を押し出しているようで、ハブ感はあまりありませんでしたが、Post Elevenという会社(アリババが出資)が物流ハブを作って何かやっている。などの話もあり、
シンガポール、ドバイのように、エストニアが地域ハブとして成功するならば、物価や給与水準も北欧側や欧州側にさや寄せされ、投資的にも面白い国になるのではないでしょうか。ここを失敗して、さえない旧ロシア風の国に成り下がるか。国家の分かれ目のように見えました。

なお、隣国の似たような国、ラトビア、リトアニアと比べて、なぜエストニア拠点なのか。という点では、じつは、人や土地のコストは隣国のほうが安いのですが、隣国と比べて、英語がネイティブレベル。インチキをする人が少ない。制度がまともな国。という点がアドバンテージになっているとのことです。
これは地域ハブとしての要件を満たしていますね。


値札には、フィンランド、ラトビアでの価格も併記で地域価格差がないことをアピール?

汚職などはあるそうですが常識の範囲内であり、それほど政治が悪いわけではないらしいです。このへんは、発展途上国ながらも欧州の上品さがある感じがします。

私感ですが、エストニアに限らず欧州は「ひどい」といっても、アジアの発展途上国ほどはひどくない。そういうまとも感がある気がします。

エストニアの不動産

ソビエト時代の団地(テネメント,tenement)あり。これは日本人には新鮮です。住み心地も客層も悪いコミュニティなのだと思いますが、個人的には面白いです。
2つ家を持っている人が多く、旧ソビエト時代に先祖がもらった家が郊外にあったりするなどは、ご当地の歴史ならではの住宅事情もありました。エストニアでは生涯のうちに2~5回くらい家を買い換えるのだそうで米国の住宅事情に似ています。

エストニアでは不動産はよく売れているそうです。利回りは表面5-6%と日本からすると普通ですが、比較対象としては他のユーロ圏を持ってくるべきでしょう。ユーロが使える国の中では利回りは(カントリーリスクはありますが)高いほうだと思います。

そんな小さな国に需要はあるのかといえば、地方からタリンに人口流入してタリンは人口が増えているとのことです。
しかし、街を見渡した感じ、それほど大きな開発をしている雰囲気はなく、新興国にありがちな、広告が不動産の看板ばかり。ということもなく、バブル感はありませんでした(現地の人が言うには「価格が高騰して大変だ」とのことでしたが)

外需はといえば、フィンランド人やイタリア人が不動産を買ったりしているそうです。しかし、それほど外国投資家が流入している感じもありませんでした。外国人からすればユーロ建てというのは投資しやすく、すばらしいと思います。

pro kapitalの物件 Kristine City

中低所得者向けの物件と思われます。計画段階では全900部屋。区画ごとに分割して作って、売って、また別の区画を作って・・という、よくあるやり方。
私が見た区画は45世帯中41世帯が10ヶ月の営業で売れていた。85%は実需とのことで、私の感覚では売れ行きは好調ながらバブル感はなしです。
建築を始める前の段階(プレビルド)でも、どんどん売れるとのこと。

 
天井高が高いのはいい

賃貸客付けには3ヶ月かかるとのこと。
コンクリートのレゴブロックのようなモジュールを工場であらかじめ作り現場で組み立てる。ジョイント部分には現場でコンクリートを流し込んで接続。とてもチープな構造ですが、地震が来ないので問題ないそうです。
ノルウェーなど近隣の先進国でも、鉄筋コンクリート造の躯体の柱がとても細いので、むしろ日本の新耐震基準は世界ではあり得ない強靱さなのでしょう。


ジョイント部分にコンクリートを流しているところ

70平米程度。平米2,300ユーロ程度(エストニアでは平均的な価格)なお、国で一番いいところでも平米4,000ユーロほどだそうです。ユーロ圏にしては安く見えます。
車で2時間のヘルシンキ(フィンランド)の平米単価の半分以下~下手すると4分の1です。ここには価格上昇のポテンシャルがあるように見えます。


内装のレベルは悪いというか安っぽい

固定資産税は年間で数十ユーロのみ。月の管理費は冬場のセントラルヒーティング費用を含めて140ユーロ/月くらいとのこと。
管理組合の組成は2017/1から義務化された。それ以前は住民で多数決をしてかかった費用を免責按分であとから徴収するなど自主管理が主流。このあたりは発展途上国の香りがします。
歴史的な建物は法律により保護されていて壊せない。ソビエト時代の建物などはリノベしてコンドミニアムとして民間利用します。
旧市街の教会よりも高い建物は建ててはいけないという規制があるとのこと。

ヘルシンキに近い海沿い(KalamajaのKalarannaプロジェクトなど)は最も高い。旧市街も高いと思われる。
郊外の家は7万ユーロくらいで買えるとのこと。

ローン事情

現地人向けローンは、人により金利が違いますが住宅ローン金利は概ね3%、自己資金20%くらいです。自己資金20%は諸外国に比べてもハードル高めだなと思いますが、ほとんどの人は家を買う国民性だそうです。


こちらは商業銀行ではありませんが。

外国人にローンは出ませんが、うまく資産などを証明できれば自己資金30%でいけるとの話も。世界平均でも30%は普通です。2017年11月現在のレート。けっこう良い金利が取れているようです。
日本の金融機関も欧州のクレジットリスクで稼ぐとかやってみたらどうなのでしょう。

SWEDBANK AS
Liivalaia 8, 15040 Tallinn
As a rule, we offer loans for up to 80% of the market value of the residential property that you intend to buy.
If you live in Tallinn or Harjumaa, your minimum monthly net income needs to be 640 euros, and if you live elsewhere it needs to be 540 euros.

Car loan 8%-19% per annum
Small loan 15%-25% per annum
Overdraft 18%-25% per annum
Student loan 5% per annum
Credit line 13%-25% per annum

 

 


2017/11/12更新