[U0-2011] 米国不動産の景気トレンドを数値で把握する

2011/07/24更新

アメリカは、なんだかんだ言っても世界最大の経済大国、英語が通じる、法律制度がしっかりしていて外国人でも買いやすい、アメリカ型の社会システムに慣れている、など日本人から見ると投資しやすい条件が揃っています。

アメリカは、7カ所ほどの都市で不動産を見てきましたが、それらを個別に見る前に全体的な傾向とトレンドのつかみ方を説明しておきたいと思います。海外の場合は特に、不動産市況の変動が大きい(ボラタイル)ので、どこで何を買うかの前に、いつ買うかというマクロ経済面が非常に重要です。

アメリカ不動産市況を説明する指標

アメリカは世界一規模が大きなマーケットであり、アメリカの不動産市況は、為替、株式、金融政策まで様々な影響を与えます。下記は、トレンドを把握するための最低限の情報で主に、株式と為替投資家がチェックしている指標です。

○住宅着工件数(Housing Starts)

日本語 フォーランドフォレックス http://www.foreland.co.jp/market/data/usd-data09.html
英語公式 http://www.census.gov/const/www/newresconstindex.html

○建設許可件数(Building Permits)

日本語 フォーランドフォレックス http://www.foreland.co.jp/market/data/usd-data10.html
英語公式 http://www.census.gov/const/www/newresconstindex.html

○中古住宅販売件数(Existing Home Sales)

日本語 フォーランドフォレックス http://www.foreland.co.jp/market/data/usd-data11.html
英語公式 http://www.realtor.org/research/research/ehsdata

グラフ化して各指標を見ると分かるのですが、サブプライム問題が表面化した2006年から一気に不動産開発は止まり、2009年に底を打ったかのような動きをしています。その後、2011年5月までは景気回復に対する楽観論が多く聞かれていましたが、それ以降は欧州金融危機の再燃、アメリカの弱い経済指標懸念など、不透明な動きが続いています。

○S&Pケース・シラー住宅価格指数

http://www.standardandpoors.com/indices/sp-case-shiller-home-price-indices/en/us/?indexId=spusa-cashpidff–p-us—-

○影の在庫(Shadow Inventory)統計 S&P | Fourth-Quarter Shadow Inventory Update

アメリカの景気を読み解く鍵として、Shadow Inventoey という言葉がひとつ鍵になっています。

簡単に言うと、実質的にはローンが破綻している物件でも、一度にまとめて売りに出すと市場に値崩れを引き起こすために、銀行が持ったままにしておいた り、銀行が持ってしまうとHOA(管理組合)の費用などを支払わなければならないために、実質的には差し押さえられている物件だが、名義は元の所有者のま まになっていたりする、売り待ち物件のことを言います。(正確な定義は http://www.investopedia.com/terms/s/shadow-inventory.asp

要は、銀行は値崩れを起こさないように不良在庫をちょっとずつ売りに出しているということで、その影の在庫はどれだけあるか分からない。(一般的には数年分の供給量に相当と言われている)というのが大問題になっています。

そのため、アメリカの不動産市場の回復には年単位の長い時間がかかると言われています。私も5年後に2倍くらいにならないですかねえ?と聞いたところ、まずならないねー。と即答されました。

http://www.standardandpoors.com/ratings/articles/en/us/?assetID=1245286096914

こちらの引用元ページでも We estimate it will take 49 months, or more than four years, to clear the supply of distressed homes on the market in the U.S. 影の在庫がはけるまでに4年くらいはかかるんじゃないの?と言っています。マイアミは安定していますが、ニューヨークなどは10年分近くの在庫が積み上がっているようです。この過剰在庫の行く末は、アメリカ不動産市場の大きな鍵となるでしょう。ちなみにS&Pを含め、アナリストの予想は必ずしも当たりません。予想が修正、撤回されることはしばしばあります。つまり、4年+プラスマイナス数ヶ月の誤差でほぼ間違いなく片付くとは考えてはいけません。

○iShares Dow Jones US Real Estate (IYR)

これは米国証券市場に上場しているREITの詰め合わせETFです。類似のREIT系ETFの中では最大の規模を誇り、チャートは株式市場と不動産市場の関連性を短期的にチェックするのに役立ちます。私は、このETF自体もレバレッジを利かせてFixed Income収入目的で10万ドル分ほど所有(2011/06現在)しています。

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玉川陽介
海外投資
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