[E2-2010] フランス(パリ)

2014/04/23更新

訪問日:2010年12月

 

冬のパリでも不動産屋を訪ねてきました。 パリという街は非常に優雅でおしゃれ、フランス人はみんなキレイ、どこで何食べてもおいしい、というすばらしい街です。しかし、不動産や銀行よりもチョコレート店の方が多いような街で、このページの主旨であるパリの経済や不動産については、あまり面白いテーマはありませんでした。簡単に言えば、投資には不向きな街です。

 

なぜなら、この先、何百年も変わらないことが期待されている街なので、建設現場は一カ所も見かけません。ハイテクな仕掛けもありません。そんなものはなくても、既に完成度100%の街なのです。 写真右はBNP PARIBAS(BNPパリバ)、フランスの銀行ですが、銀行のエントランスですら高級ブティックのようにおしゃれです。

このおしゃれな雰囲気の街で暮らす、アメリのような生活をする、という形而上の生活スタイルにあこがれる人ならともかく、私としては、やはりテクノロジーとビジネスのあるところに住みたいなあと。不動産屋までおしゃれな感じで登場されちゃうと、ちょっとやる気出ないですね。というわけで、パリについては内容も少なめです。パリは素直に観光都市として楽しむのがよいと思います。

パリのホテル

ビジネスや投資とは最も縁遠い街、パリですが、このページの主旨に従い、いくつかのフラグシップホテルを見てきました。

【クリヨンホテル Hôtel de Crillon Paris】

 パリではおそらく最も伝統的な高級ホテルと言われる、クリヨンホテルを見てきました。昭和天皇やオバマ大統領も宿泊したという由緒正しい5つ星ホテルです。

入り口は改修中でしたが、このハリボテの作り方も景観を乱さず、パリっぽくてよろしいのではと思います。

 

クリオンホテルのレストラン。ベルサイユ宮殿のような装飾で、これは確かにスゴイ。

 

日本人としてチェックインしたら和菓子で出迎えてくれました。価格は時期により700~900USドル/泊です。

【リッツ Ritz Paris】

リッツは、ヴァンドーム広場(Place Vendôme)の中にある高級ホテルです。ヴァンドーム広場には高級宝飾店が多く軒を構えることで知られています。しかし、賃料が高すぎてここに位置する宝飾店舗が利益を出すことは難しいのではないかと思います。ブランディングのために出店しているという意味合いが強いのでしょう。なお、ヴァンドーム広場内のヴァンクリーフ&アーペルアルに聞いたところによると、数年前までは日本語のしゃべれるスタッフが在籍していたが、中国語を話す者と入れ替わりになってしまったとのことで、ここでも日本の衰退と中国の勃興を図らずも目の当たりにすることとなってしまいました。

  

写真左は2枚の写真をつなぎ合わせたものですが、これと言って特筆すべき点もなく、広いわけでもない部屋でした。右は部屋に運ばれてきたウェルカムマカ ロン。パリではチョコレートとマカロンを、とにかくいろいろなところで見かけます。これで900USドル/泊は安くはないなあと正直思いますが、世界で一 番高価な場所にあるホテルなので、こういうものなのかもしれません。もしくは、ここよりもハイクラスな部屋は、もっとすごいのかもしれません。

なお、Expediaで検索しただけでもパリには、1596もの宿泊施設(ニューヨーク、ロンドン、東京など世界の主要都市でもせいぜい500~900程度)があり、いずれのホテルも比較的高価格を維持していて、観光需要の旺盛さをうかがい知ることができます。Expediaによれば、5つ星ホテルはクリヨンホテルとリッツを含めて24件です。

パリの不動産

フランスの不動産向け貸出金利が3%程度なのに対してパリ不動産の利回りはたったの2-3%、これだけ成熟した街なので大幅な値上がりも狙えない。なぜ、みんなパリの不動産に投資をするのだろうというのが素朴な疑問です。

 

それを素直に聞いてみたところ、「パリはエレガントな街だから、お金儲けではなくて街が気に入って買う人も多い」と言っておりました。 もう不動産エージェントにそんなこと言われたの初めてですよ。まるで、お金儲けのことばかり考えないで、もっと粋に人生を楽しみなさいと諭されているかのようでした。

実際のところは、この街の不動産は完全に安全資産という認識をされているようです。エージェントも「この街の不動産はゴールドと一緒」 と言っていました。事実、街並みは数百年前からほとんど変わっていないし、地政学的リスクも少ないので、これから先もヨーロッパの星であり続け、人々を魅了し続ける、だからそんな街に資産を持つというのは間違いのない選択。というのは合理的な考えでしょう。あまり調べてはいないのですが、法律もきちんとしていそうなので、日米並に買いやすい街だと思います。

このピンクの中あたりがGolden Triangleと呼ばれ、パリ市内でも一番良い場所らしいです。

サブプライム問題の影響は?

サブプライム時は7%下落するも半年後には15%上昇、金融危機の最中は、ロシア、イタリア、スイス投資家が買い支えた。ロシアというのがひとつポイントのようです。「今はフランス人はお金持ってないのよね」「パリの不動産はフランス人のものではないのよ」と何度か言っておりました。

なお、ロンドン、パリ、ジェノバ(スイス)に物件を持つというのがヨーロッパでは黄金律の不動産分散法らしいです。

物件と価格

 

パリ中心部で、それなりのレベル感の集合住宅型コンドミニアムは、150㎡~200㎡ほどで㎡単価は15,000ユーロほど。港区の高級住宅街よりも1~2割高い雰囲気です。(ユーロ=110円で計算)

諸経費については、たとえば中心部の3.2Mユーロ 250㎡のコンドならば、

・管理費月額 665ユーロ

・固定資産税年額 2,900ユーロ

・住民税年額(自分が住む場合は自分、賃貸では賃借人が払う)固定資産税と同額程度

このあたりの費用がかかってきます。

シャンゼリゼ通りなど、本当の中心部ならば、旅行者向けに週貸しにしても収入は確保できるとのことですが、管理業者が15-30%の手数料を取ります。

借入は外国人でも自己資金20%入れれば可能で、収入内容が良ければ10%でもとのことでした。

不動産エージェントへの仲介手数料は5%で全額を売り主が負担。買い主は弁護士を通じて登記費用などの税金を負担。弁護士費用(税含む)は7%前後です。
このように、往復で12%の取引コストに加えて、キャピタルゲイン課税もありますので、転売してのキャピタルゲイン狙いには不向きです。

弁護士の相談は1時間300ユーロ、ヴァンドーム広場やゴールデントライアングル内の一等地にも弁護士事務所は多くあります。

すべての建物は最低でも100年、ものによっては300年くらい築年経過しているので、場合によっては、大がかりな内装工事が必要になるケースもあります。たとえば、この写真は、その昔、偉い人のパーティー会場として使われていた部屋。これを一般家庭仕様にコンバージョンするには電気配線工事など諸々の手入れが必要です。

また、街の設計がなされたのは数百年前であるため、パリの街全体が自動車を想定していない造りになっており、交通渋滞がひどく、駐車場がありません。一般人はバスか電車でパリ市内に通勤しており、車は小回りの利く小型車ばかり走っています。

販売時は、現況、入居中だろうがなんだろうが中を見せてくれます。自分の留守の間に他人が入ってくるということに抵抗は少ないようです。家具は付いていない(unfurnished)のが一般的でした。

1件目のコンド

 

こちらも数百年前の非常に古い建物を改修しながら使っています。極めつけはエレベーター。建築当時にはエレベーターが存在しなかったので、構造上ぶち抜いても問題場所を選んで、後から2人乗りほどの小さなエレベーターを無理矢理に増設したような造りになっています。同様に設計当時は車も存在していなかったため、いくつかのコンドには地下駐車場が備えられていますが、多くは路上駐車です。パリ市内では駐車場を確保するのが非常に大変なのです。

 

フランスなので当たり前ですが中はヨーロピアンなテイストでまとめられています。子供部屋はピンクに彩られています。

2件目のコンド

 

 

このコンドは、街の中心部に位置する非常に場所の良い物件です。内部は2階建てになっておりますが、それでも床面積は50平米ほどと狭いです。案内してくれた不動産エージェントも「アメリの家みたいでしょ」と洒落た説明をしておりました。フランス人はどこまでもおしゃれなのです。なお、パリ中心部には、11㎡で1泊あたり60ユーロのアパルトマンなど、もっと狭い物件はたくさん存在しています。

3件目の一戸建て

 

パリ市内の中心部には戸建てはありませんが、車で何分か外に出ると、戸建てタイプも見つけることができます。これはモデルルーム仕様になっているわけではなく、親戚一同を集めてパーティーをするための準備なのだそうです。パリジェンヌはみなセンスが良いですね。

4件目のコンド

 

 

こちらは、ゴールデントライアングルの中に位置する好ロケーションのコンド。とあるフランスでは有名なスポーツ選手の家とのことです。

税金

非居住用でも15年以上所有している場合はキャピタルゲイン非課税。居住用の場合は15年未満でも非課税とのことです。しかし、海外の人の言う話は、よくよく聞いたら違った、みたいなことが多いので、会計士に確認した方が安全ではあります。

流動性

流動性は非常に良いらしく、売買でも2ヶ月も決まらないのは何か特別な理由がある物件、賃貸などは2週間もあれば決まるとのことで、永遠の都パリの需要の強さを確認することが出来ます。

実際、内覧に行こうと思っていた物件がすでに売約済みになってしまったり、内覧の現場で他の業者と鉢合わせたり、日本とは違って活況な様子ではありました。

しかし、月に何件くらい決まるの?と聞いたところによれば、そんなに多く成約している様子ではありませんでした。また、1件目の物件のオーナーに直接聞いたところによれば、内覧は10組くらい来ているがまだ決まっていないとも言っていました。

なお、パリ市内は場所によっては、高田馬場並に(というとちょっと大げさですが)不動産屋がたくさんあります。

ロスチャイルド財閥の影響が今でも強いのか?

パリに限定すれば、そうでもないとのことです。パリの大型物件のほとんどは、保険会社などの機関投資家、そして教会に持たれているとのことです。教会が大口の投資家というあたりがヨーロッパ圏の歴史を感じさせます。

不動産エージェントの女性は、おそらく40代で、子供が4人いるらしいのですが、うちの子供がロスチャイルドの子孫とクラスメイトで、ロスチャイルドは個人的によく知っているのよ。と言っていました。お金持ちでも見せびらかさない良い人たちよ。とのことです。気軽にロスチャイルドともつながってしまうパリの街というのはすごいですね。

相続が多い?

どう見ても、すごく家賃の高い一等地で、あまりさえない家族経営の小売りやカフェが営業していたりというのをいくつか見かけました。それに加えて、カフェも数百年営業している店が結構あったり。先祖代々受け継いでいるのではという推測です。不動産エージェントも相続は多いと言っていました。税制も世襲を支持する設計になっているのではなかろうかと思います。

まとめ

 

モンマルトル(Montmartre)の町並みとフランス料理トゥール・ダルジャン(La Tour d’Argent)のパリ本店。

パリで何か奇抜なビジネスを起こしたり、不動産投資で利益を狙うというのは、街の雰囲気に合っていないな と思いました。ここでは、Excelの収益計算表から少し離れて、この歴史的な町並みを楽しむ程度にしておくのがよろしいのかなと。日本で言えば京都のお寺エリアのようなものでしょう。EUを代表する国であるため、オフショア的な外資受入のための租税回避的な税制優遇策もありません。

私はお世話になっていないのですが、パリ不動産という日本人がやっているお店があり、日本語での案内を希望の場合は、こちらに声をかけてみるのが早いかもしれません。他にも日本語が通じる不動産屋が5-6件、Googleで出てきました。

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玉川陽介
海外投資
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