[X2] 複雑な金融商品の相続税評価

2014/04/23更新

複雑な仕組債の相続税評価などは、税理士に聞いてもよく分からないという回答が返ってくることが多い分野だと思います。私も専門外ではあるのですが、分かる限りにおいて調べてみた内容をまとめます。

1.上場株式(ETFを含む)の評価

http://www.nta.go.jp/taxanswer/hyoka/4632.htm

下記の4つのうちの一番安い金額にて評価。つまりは、ほぼ時価です。
1.課税時期の月の毎日の最終価格の平均額
2.課税時期の月の前月の毎日の最終価格の平均額
3.課税時期の月の前々月の毎日の最終価格の平均額
4.被相続人が死亡した日における時価

2.投資信託
http://www.nta.go.jp/taxanswer/hyoka/4644.htm

相続日において解約請求をしたとすれば、証券会社からいくらの返金が受けられるかを基準に計算します。要は時価です。

3.個人向け国債
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hyoka/15/06.htm

個人向け国債は、被相続人が死亡した日に中途換金した場合に金融機関からいくら返金が受けられるかを評価します。
具体的には、次に掲げる算式により計算した金額によって評価します。
(算式) 額面金額 + 経過利子相当額 - 中途換金調整額
詳しくは、上記の国税庁のページをご覧ください。

4.公社債の評価
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka/08/07.htm

【公社債の例】

財産評価=東京証券取引所や日本証券業協会の出す時価+経過利息-源泉徴収税額
つまりは時価で計算します。

5.外国株式
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hyoka/14/01.htm

基本的には、国内株式と同じ方法で評価します。すなわち、
下記の4つのうちの一番安い金額にて評価。つまりは、ほぼ時価です。
1.課税時期の月の毎日の最終価格の平均額
2.課税時期の月の前月の毎日の最終価格の平均額
3.課税時期の月の前々月の毎日の最終価格の平均額
4.被相続人が死亡した日における時価
為替については、被相続人が死亡した日における時価です。

6.外国債券

調査中です。

7.ディスカウント債の評価
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hyoka/15/08.htm

【ディスカウント債の例】

このような、いわゆる仕組債の相続税上の評価は、証券会社が出す売買気配値によります。

財産評価=証券会社の出す気配値+経過利息-源泉徴収税額
つまりは時価で計算します。

8.EB債の評価(いわゆる仕組債の評価)
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hyoka/15/07.htm

【EB債の例】

ノックインせずに現金で償還されそうな場合
公社債と同じように発行価額と源泉所得税相当額控除後の既経過利息の額との合計額により評価する。つまりは発行額の100%が評価額となります。

ノックインして株式で償還されそうな場合
被相続人が死亡した日の基準で計算すると、ノックインして株式で償還されてしまうという場合、債券元本部分の評価は、転換後の株式の時価(株式の評価方法は1.上場株式(ETFを含む)と同じ)で評価できます。

9.金利デリバティブ系の仕組債

【金利デリバティブ系の仕組債の例】
 

上記のサンプルとは無関係の別のプライベートバンク担当者に聞いたところ、仲値、もしくはその時点での売却想定価格となるであろうとのこと。ただし、売却想定価格は仲値よりも一般的に大幅に低い。月次報告書では仲値を記載しているため、管轄の税務署によってどちらが採用可能かは判断が分かれるのではないかとのこと。

10.為替デリバティブ系の仕組債

【為替デリバティブ系の仕組債の例】

上記9と同じでサンプルとは無関係のプライベートバンクに聞いたところ、仲値、もしくはその時点での売却想定価格になるであろうが、管轄の税務署の判断により異なる可能性有りとのこと。(詳しくは9をご覧ください)

11.仕組債は相続対策に使えるのか?

 大方の予想に反して、普通に仕組債を購入するだけでは、相続対策に効き目はないようです。なぜなら、基本的には相続日の市場での時価、換金価値を評価基準として、その評価×100%(不動産のように評価の割引は無し)を相続税評価とするためです。

ただし、相続税評価の仕組みから逆算して、中途解約ペナルティが著しく高く、途中で売ると二束三文の評価にしかならないような仕組債で、かつ、満期まで持っていれば償還価格が保証されているというようなスキームの仕組債であれば、効果があるのかもしれません。そのような商品が売られていないかを引き続き探してみたいと思います。今のところは、見つかっていません。正しく税金を納めて明るい社会を実現しましょう(笑

その他、マニアックな権利や複雑な資産の評価については下記が多少の参考になります。
財産評価|法令解釈通達|国税庁 http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka/01.htm

なお、このページの主旨は、「一般的な内容をわかりやすく説明すること」にとどまります。税理士法の規定により税務相談は受け付けておりません。

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玉川陽介
海外投資
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