[X3] アメリカ富裕層の利用する資産運用会社

アメリカにはファイナンシャルプランナーと呼ばれる職業があり、日本のそれとは違い、顧客はアメリカの富裕層。個人経営の資産コンサル兼ファンド販売のような仕事です。サンフランシスコ(カリフォルニア州)でWealth Adviserとしてとして活躍しているアメリカ人社長に話を聞いてきました。

サンフランシスコのファイナンシャルプランナー

  

面白かったです。大興奮。リテール金融の世界も日本と全然違いました。簡単に言えば彼らの仕事内容は、日本のFPが分散投資ポートフォリオを提案して、投信やらヘッジファンドの販売代理もやっているようなイメージです。

会ってきた社長は

・60歳くらいの女性

・個人企業にしては結構立派なオフィス

・とにかく輝かしいご経歴。大学ではMBAを取得、FINRA(The Financial Industry Regulatory Authority 金融業界監督機構)の理事メンバー、本に記事書いたり、講演をしたり、過去には日銀総裁とも会談したことがあるとのことです。


・彼女自身も結構な資産を持っている模様。


・最も預けている顧客はひとりで$11mを彼女に預けている。(預けていると言うより彼女経由で投資商品を買っていると言うのが正しい表現であろう)


・そこから推定すると$20-30mくらいの預かり資産残高と思われる。


・彼女の会社に口座を開くには(表向きは)最低$5m(5億円)の金融資産があることが条件


・口座開設時は50万ドルくらいは預けてほしいなあ。みたいな雰囲気。


・けどまあ、5万ドルでも相手してやるか。みたいな感じでもあった。

キャラクター的には、笑い無しのスーパーインテリタイプで私の好きなタイプの人種ではないのですが、お金を扱う仕事なので悪いことではないと思います。

実際、何をしてくれるの?

・まずは顧客の投資目的を分析

 まず、客の資産内容をいろいろとヒアリング。日本の証券会社のようにその場で行き当たりばったりの商品は提案せず、どのような目的で投資をしているのか?を重点的に聞き出します。

ちなみに、場の雰囲気は、とても堅い雰囲気で、立場も対等(むしろ相手の方が上だな)あまり冗談を言える雰囲気ではなかったです。

そして、これはアメリカすごいと思ったのは、資産管理の基本的な考え方は、なんと!現代ポートフォリオ理論(modern portfolio theory)が基準になっているところ。日本の財産三分法とはレベルが違う。この理論、アメリカでは中級以上の投資家はほとんど採用していると言っていました。日本では、業界の人でも、聞いたことあるけどよく知らない。という程度なのではないでしょうか。

たまたま私は何年か前にExcelでこの理論のシミュレーションを作って遊んだことがあったので知っていたのですが、普通の人は知らなくても不思議はないと思います。ちなみに私は、このノーベル経済学賞を取った理論。実践には使えないと思っております。そんな都合良くパラメーターが決まったら苦労しないでしょうと。そんな言いがかりを付けつつ、現代ポートフォリオ理論ベースの提案を牽制してこの日は終了。

・後日、商品の提案を受ける

正直、インテリタイプの人の提案って、どうせ教科書通りなんじゃないの?と思って期待していませんでしたが、2回目に会って、ふたを開けてみたら、私の好きな分野をちゃんと理解してピンポイントで商品を出してくるのがすばらしかったです。

3つ候補を出してもらったのだけど、その出し方が巧みでした。

売りたい商品、よく売れている商品、流行に即した商品を並べるのが日本の証券会社のよくやる方法なのですが、彼女は流動性ごとに、5年FIXハイリターン、2年FIXミドルリターン、1ヶ月FIXミドルリターンと出してきて、これは出し方として上級者だなと。

で、具体的に出てきた商品がこちら。

1個目の商品 Distressed不動産ファンド(DEBARTOLO OPPORTUNITY FUND I .LP)

もう初っ端からスゴイ!!

・DeBartolo Holdingsはサンフランシスコの有名な財閥の人が経営している会社らしい。
おそらくこの人? http://en.wikipedia.org/wiki/Edward_J._DeBartolo,_Sr.

ミニマム投資額5万ドル

・募集最低エクイティ$1m、最高$25m


・14%/年くらいのリターンを出せたら良いなというpreferred return.こちらでは根拠無く予想リターンとか明示してOKみたいです。


・0%<IRR<20% の場合、投資家への分配率は75%、残り25%はファンド会社の取り分


・20%

・LTVは最大70%


・基本的にdistressedとnon-performing notes(不良債権) への投資


・地元カリフォルニア州とその周辺に投資


・過去に立ち上げたファンドでは$130m相当のdefaulted mortgageを76%ディスカウントの$30.5mで買いたたいてコンドミニアムを取得。何年か後に2倍くらいで売却したい模様。

・運用期間5年

簡単に言えば、サブプライムで見通しの外れた郊外のホテルやら商業施設などを当初価格の半額以下で買いたたいて、5年後には2倍くらいで売りましょう。しかもLTV70%にて。みたいなファンドのようです。

ここだけ見ると投資したくなっちゃうファンドなのだけど、よくよく細かい字の説明書を読んでいくと、内部的な手数料が非常に高いのです。

・集めたエクイティ部分の15%が募集手数料(日本でいうイニシャルロード)

・AMマネジメントフィーがグロス資産の1.5%

・PMマネジメントフィーが家賃の4%(まあこれはあり得るのかな)

・それ以外にもloan fee(借入額に対して)1%、acquisition fee(資産買付の際)1%、disposition(資産売却)1%、cost reimbursements、incentive distributions……..

全部は読んでいませんが、エクイティ部分が丸ごと手数料で消えて無くなるくらい内部的な見えない手数料が分厚いような・・。さらにIRR20%以上出た 場合は実質的にほとんどがファンド会社の取り分になってしまうのはあまりおもしろみがない。ただ、過去の実績を見るにはうまくいけばIRR50%くらい出 るのかなあ。逆にLTV高めなのでモルガンスタンレーのハイレバレッジ不動産ファンドのようにエクイティ全損ってのも起きやすいファンドかもしれません。

ちなみに、社長に内部的な「見えない」手数料が厚すぎないか、と言ってみたところ、見えない手数料というのは存在しない。なぜならば、法律で必要な事項 はすべて開示することが義務づけられているから。という堅い反論を頂いてしまいました。日本人には見えない手数料(internal invisible/hidden commision)と言えば、ニュアンスで伝わると思うのですが、この表現の方法が良くなかったのかもしれません。

個人的にこういう冒険家向けの商品は好きなのですよね。ちなみに、この類の商品は、日本では不特法、金商法が厳しすぎるおかげで出ていないですね。そもそもDistressed投資にローンが70%も出ないのではないかな。

2個目の商品 ホテルへのつなぎ資金融資 (GEMINIホテル)

NYマンハッタンに建設中の4つ星ホテルへのつなぎ資金融資。これもレアです。どうも建設前のホテルには融資が出ないが、運営開始してしまえばローンが出るので、建設期間中のつなぎ融資がほしいということのようです。日本ではこういう商品はまず存在しないのでとても面白いです。

・3つのトランシェに分かれていて、投資家はシニアエクイティに投資。

・ミニマム投資額5万ドル(募集は$23.5m)

・利子の支払い四半期ごと


・償還2年後


ホテルが潰れたりしなければ12%利回りは保証

まあ、マンハッタンだし大丈夫なんじゃないのかなあと思うのですが、詳しくは聞いてなかったのですが課税が30%らしいので、税金を考えるとIRAアカウント(税制優遇のあるリタイアした人向けの特別アカウント)以外でfixed income商品買うのは良くないのかもしれません。

ちなみに、米国でホテルを建てる場合、コンストラクションローンとオペレーションローンは別。ビル完成前にはconstruction loanという20%くらい金利を取るローンしか出ない。 完成後はoperation loanというのが安く借りられる。マンハッタンのホテルは50%超える利益率なのだそうで、金利20%でも払えなくはない。とのことです。

3個目の商品

確かに3つ出てきたはずなのですが、あまりインパクトがなかったのと、資料がどこか行ってしまったので割愛します。

最後に

アメリカでは現代ポートフォリオ理論が常識化していること、日本では10億円以上のプロ投資家にしか販売していていないようなファンドが5万ドルから買え ること、私の好きな不動産系のオポチュニティファンドなども売っている。などなど大満足でありました。


2014/04/23更新