2015/06/14

世界一わかりやすい!銀行の仕事と信用創造の説明

信用創造は、社会の教科書では、よく分からない数式が出てきて、それを暗記するだけ。ということになっています。
そのため、金融機関や証券会社の人でも大半の人は意味を理解していません。
これはいけません。本当はとても重要で奥深い経済の基本です。

大人向けの解説(R18)

中高生のみなさんは、ここは読み飛ばして良いです。株の取引をやったことある人向けの解説です。

信用創造は銀行が行う信用取引

信用創造というのは、銀行が、その独自の権限で行う信用取引です。銀行を投資家に見立てると分かりやすいでしょう。自己資本を超えた額のお金を貸し出しているわけですからレバレッジをかけて顧客に投資しています。
銀行の自己資本を担保余力として、顧客に貸し出しして利子を得る、つまり顧客が発行している債券をレバレッジで買う投資みたいなものなのです。このレバレッジ比率は数十倍まで許されています。

そして、そのポジションの管理は通帳システムを通じて銀行が自分で行うことを許されています(クリアリング機構を介さないので強制ロスカットされたりしない=銀行はかなり自由に金を回せる=責任が重い=銀行免許は誰にでもは出せない)

なお、後述の高校生向けの解説でも説明の通り、銀行は融資を出すために、そのお金を持っている必要はありません。これは重要な概念です。通帳システムの上に残高を記帳することによりお金を作り出せるわけです。厳密に言うとお金を印刷してマネタリーベースを増やしているわけではなく、信用建玉、すなわちマネーサプライを増やしている。

社会全体で見ると無期限に信用が膨らみ続ける

信用取引の仕組み上、銀行が自らふくらませたポジションは、最後には差益だけ取って閉じる必要があります。信用取引なので最後は閉じる必要があるわけです。
ただし、社会全体では常に誰かが閉じては開きなので、社会全体で見ればすべてが閉じられることはありません。というより、いつでもレバかけっぱなしです。いつの世の中でも住宅ローン残高統計がゼロになることはあり得ないわけです。

株の信用取引も東証全体で見れば制度信用3ヶ月を経過しても、市場全体で見れば年がら年中開きっぱなしです。それと同じです。

金融緩和以来、実務上はマネタリーベースもマネーサプライも概ね同じ!?

マネタリーベースは日銀の種銭(ネット)であり、マネーサプライは信用創造を通じてふくらんだポジション全体(グロス)です。
ですので、マネタリーベースが勝手に増刷されて2倍に増えたら、日本列島をすべて買い占めためには2倍のお金が必要になる計算です。教科書的にはインフレが起きます。

しかし、量的緩和以来、そうならないことが証明されかけています。
これはどういうことでしょう。社会全体で見ればポジションが閉じられないマネーサプライは永久債みたいなものです。マネタリーベース(種銭)も借りた金(マネーサプライ)も国債(国のレバ)も、いずれもお金として使えるし、
どれも最後にポジション閉じるというのはあり得ないから、結局はぜんぶ一緒だろう。従い、マネタリーベースを多少増やしたところで意味がない。みたいなことも近年は言われているようです。いわゆる、緩和限界説。

信用創造は真の信用取引

通常、証券はDVP決済なので、レバとして得た金で再度レバをかけることはできない=不良債権も発生しないので、人を信用しない信用取引といえます
(クリアリング機構が個々人が赤字にならないように上限管理している=Net Liquidation Valueとグロスポジションは明確に別物。すなわち、お金は本源的預金、派生的預金と明確に色分けされている)

一方、銀行は、本当の信用取引なので、客が借りた金を種銭としてレバレッジを効かせて証券を買ってもいい(レバレッジから生まれた金によるレバレッジ)、銀座で飲んだりしてもいい(一時的に担保割れさせて現金として引き出してしまってもいい)
このようにDVP決済ではあり得ないことが平然とできてしまう。貸してから返すまでのあいだは客にすべてお任せで、いつか返してくれればOKなのです。

信用創造で本当に重要なこと

信用創造で本当に重要なエッセンスは「DVP決済ではない、銀行主体のレバレッジ投資」「レバレッジのための資金は外部調達する必要がなく通帳システムにより勝手にお金を増やせる」ことです。

すなわち、銀行が貸出をすると資産=貸出金、負債=預金 となり、貸出金を増やせば預金が増えてひとりでにB/Sがふくらむことが重要。預金が他行流出すると日銀当座預金が減り、預金超過で余ると日銀当座預金が増えることも重要。
これをひとことでまとめると、日銀当座預金は余ったお金を入れておくためのの箱。すなわち「日本銀行は銀行の銀行です」となるのだが、それはひとことでまとめすぎだろう。それでは何も伝わらない。

社会の教科書の説明は実態と合っていない

しかし、社会の教科書だと変な数式が出てきて暗記するだけなのでよろしくない。
教科書に出てくる数式というのは、A銀行から出てきた派生的預金100がB銀行に入ると根源的預金になって、またレバレッジが効きますよ。ただし支払準備が10%だから90が再投資ですよ。90の90%を再投資すると81ですよ。みたいな話で、比較的どうでもいい概念論。支払準備抵触の目一杯まで貸す銀行などあり得ないし、そもそもA銀行の預金の9割もが流出したらA銀行の日銀当座預金が枯渇して営業継続できない。
預金が枯渇した場合、日銀が緊急融資をして(その際にどのような仕訳となるのか分かりませんが)救済されると思います。一時的に預金がなくなっただけで損失が発生したわけではないので、そのうち預金集めキャンペーンなどをして預金を集めて、日銀に借りを返せば無問題。営業を継続できます。

根源的預金と派生的預金はあまり重要ではない

そもそも、根源的預金と派生的預金というのはミクロの考え方であり、マクロで見れば、あまり意味がない気がします。
マクロでは、すべての銀行の貸出金総額≒派生的預金ってことなのではないか。A銀行の派生的預金が流出するとA銀行の日銀当座預金が減り、それがB銀行に根源的預金として預け入れられるとB銀行の日銀当座預金が増える。社会全体ではプラマイゼロで何も変わっていない。従い、どうでもいい。
マクロの視点では、日本に民間銀行はひとつしかなくB/Sもひとつだけ。銀行間での送金は支店間での送金と考えると分かりやすいかもしれない。

高校生にも分かりやすい解説

銀行の仕事とは?

まずは銀行のはじまりから考えてみましょう。
銀行を作るには「自己資本」と呼ばれるお金が必要です。自己資本は、普通の会社で言ったら、起業のために事務所を借りたり、パソコンやイスを買うためのお金です。

それに加えて、銀行は、人にお金を貸すには当然ながらお金が必要です。

しかし、何兆円ものお金が余っている事業家はいません。
そこで、近所のおじいちゃんなど、お金の余っている市民からたくさんの預金を集めて、
企業が機械を買ったり、不動産(大きなビルのように高額な建物)を買うために、お金を必要としている人に又貸しします。

預金者に支払う利子よりも、貸出で得られる利子が高いので、安く借りて、高く貸す。
それにより銀行は利益を得られます。ツタヤのレンタルビデオと同じような収益モデルです。
ビデオではなくお金を貸して、お金のレンタル料として利子をもらっているのです。

これが銀行のビジネスモデルです。
(私たちがATMを使う時に支払う324円は、銀行の主たる収入源ではなく、おまけの収入のようなものです)

さて、ここまでは信用創造以前の前知識です。ここから本題です。

ヤミ金と銀行は何が違うの?

自分のお金や、人から借りてきたお金を又貸しする商売と言えば、サラ金やヤミ金も同じです。
ヤミ金と銀行では何が違うのでしょうか。

じつは、やっていることはあまり変わりません。一番大きな違いは「与信」というシステムがあるかないかです。

銀行が企業にお金を貸すというのは、その企業に「残高の記帳された通帳を渡す」ことにすぎません。
これは「与信」と言われ「お金を使う権利」を授けることであり、1万円札(現金)をあげることとは、ちょっと違います。
現金をあげると現金はなくなってしまいますが、「残高の記帳された通帳を渡す」こと、すなわち、
与信を与えることは制限なく無限にできるという点で違います。

これは、どういうことでしょうか。
たとえば、JR東日本が銀行だとしたら、お金を借りたい人にSuicaのチャージをしてあげているようなものです。
SuicaチャージをするのにJRに何らコストはかかりません。現金は不要です。
ですが、チャージされたカードを受け取った人は、たくさんお金が使えるようになるわけです。
全力でチャージして多くの人に貸せば、社会にお金がたくさん出回ります。

このような仕組み(与信≒通帳≒Suicaチャージ)のため、お金を貸したからと言って、
市民から預かった預金が、右から左に流れていくわけではありません。

しかし、与信を与えて、勝手にお金を増やすというのは、直感的に、何かがおかしくなりそうな気がします。

もちろん、最終的には帳尻を合わせる必要はありますが、貸し出した時点ではつじつまは合います。
帳尻を合わせるにはお金を借りた人が、そのお金を使って儲けを出す必要があります。
借りた100で商売をして101に増やす必要があるのです。
そして、最終的には儲けの1だけを手元に残し、借りたお金である100は銀行に返せばよいのです(利子は別途支払うとして)

一方、ヤミ金は、人にお金を貸すときに通帳を発行することはできません。
そのため、どこかから調達してきた現金を誰かに現金で手渡して、おしまいです。右から左です。
そのため、世界に出回るお金の量が増えることはありません。
Suicaの例で言えば、ヤミ金はチャージ機を持っていないので、他人に「与信」を与えることはできないのです。
ここがヤミ金と銀行との最大の違いです。

なぜ銀行にだけそんなことが許されるのか?勝手にお金を増やせるのか!?と思わずにはいられませんが、
意外に、こんな雰囲気で増やせてしまいます。

それは、何か魔法があるわけではなく、単純に「銀行業免許」という国家公認のシステムの力です。
この免許は、よほど信頼できる事業家でない限りは取得することはできません。
むやみに権限を与えてしまうと、零細銀行がお金を持っていないのに融資を乱発して最後に帳尻が合わなくなるからです。

融資と信用創造でお金が増える

さて、「残高の記帳された通帳」を企業に付与して与信を与える(お金を貸す)と、貸したお金の分だけ自行の預金が増えます。
貸したお金は1万円札の束で債務者に手渡されるわけではなく、借りた人の普通預金口座の残高増加となって現れるからです。

そのため、もっと、どんどん貸すと、貸出金と(貸し出したお金が預金になるため)預金残高は、どんどん増えていきます。
他行振り込みすると自行の残高は減ってしまいますが、日本全体で見れば預金は増える一方です。
このように、銀行の融資により、どんどんお金が増えていくことを「信用創造」といいます。

これだけの複雑な仕組みを、社会の教科書では、さらっと1行で説明しているだけなので、分かるわけがありません。

このように、銀行は、最初に近所のおじいさん・おばあさんから預かった預金額の何倍も貸し出すことができてしまいます。
なぜなら、融資は、審査部がハンコを押すだけで、いくらでも増やせる(貸せる)からです。
「与信」(つまりは通帳)というシステムを使うことにより、融資をするときに銀行は現金を持っている必要がないことは重要です。
コンピュータに貸出額を入力するだけでいいのです。

※細かい話し※
本来、信用創造の原理で言えば、貸出の原資として、おじいちゃんから最初に預金を預かってくる必要もないようです。実際、(海外には)預かっている預金額を超えて貸出をしている銀行も存在します。
しかし、日本では、実務上は、預かってきた預金を又貸しするのが基本です。

それはなぜでしょう。いろんな企業にお金を貸して、借りた企業が、現金引き出し(今どき現金で持って帰る人は少数ですが)や、他行振り込みで、銀行からの資金流出が多いと銀行の手元資金が尽きてしまいます。
それは大問題となるのでしょうか。じつは、銀行の手元の現金(近所のおじいちゃんから預金として預かったお金)が底を尽きても銀行は倒産するわけではありません。
銀行には信用がありますので、その看板を使って、よその銀行や金融会社からお金を借りて、それを自行の顧客に貸せばいいのです。
しかし、よその業者から借りてくると借入コストが高いので儲けが出ません。一方、預金の金利はゼロですので、銀行からすれば無料で貸し出し原資を集められることに近いです。
そのため、預金を又貸しした方が理にかなっています。この状態が長く続いたので、ほとんどの場合において、預金を集めるのが先、そのお金を貸し出すのが銀行の仕組み。と説明されているのではと思います。

無限にお金が増えることの規制

銀行が「与信」を企業に与えて通帳残高を増やせば、みんながお金を使えるようになる。信用創造。
それならば、どんどん与信を与えて、お金を増やし続けて、それを米ドルに両替して、世界中の土地や鉱山を買いまくればいいのではないか?
誰でもそう思うはずですが、「与信」でどんどんお金を増やす、信用創造というシステムには、重大な副作用があります。

信用創造に何の規制もなければ、銀行の勝手でお金が無限に増えてしまい、政府のお金に対するコントロールが利かなくなってしまうのです。
そのため、政府は「預金準備率」という制度を作りました。

その制度では、預金総額のx%を日本銀行に保証金として預けてください。ということになっています。
これにより、実質的に、「元々、近所のおじいちゃんから預かった「本当の預金」の5倍とか、10倍までしか融資を出してはいけません」という制限がかかることとなります。
いまの規制によれば、「本当の預金に対して」中国では5倍(20%)くらいまで、日本は100倍(1%)くらいまで貸してOKです。

この、日銀に預けるお金は、銀行の自分のお金である「自己資本」または「元々、近所のおじいちゃんから預かった本当の預金」のどちらかでなければいけません。
貸付により生まれた「もともとは存在しなかったはずの信用創造により増えた預金」は使えません。
(上級者向け注釈:自己資本や本源的預金はBS上、日銀への預け金に使えるが、融資により生まれた派生的預金の貸方は貸出金なので、日銀に預けるお金としては使えない)

さて、なぜ「預金準備率」という制度が必要なのでしょうか。それには2つの理由があります。

「もともとは存在しなかったはずの信用創造により増えた預金」が世間に出回りすぎると、カネ余りバブルになるため規制が必要です。
言うなれば、世界にあるモノ(富や財)の量は全く変わらないのに、やたらお金ばかりが増えると、お金が余り、ありがたみが減ってしまいます。
そうなれば、中小企業の社長が証券や不動産などで博打的な投資をしたり、銀座で無駄遣いをして後で返せなくなり、あとで破綻して「不良債権」が生まれます。

銀行から借りたお金は、将来的にきちんと返ってくることが非常に重要です。
このお金が返ってこないと、銀行が困るのです。
借りた社長は適当に破産手続きをして、実家にでも帰れば済みますが、
銀行は、近所のおじいちゃんや、設立に賛同して出資してくれた株主から与えられた大事なお金を毀損してしまいます。

別の問題もあります。あまり銀行の手元にお金がないのに「残高の記帳された通帳」を発行しすぎると、
預金引き出しが集中してしまったときに払えるお金がなくなり、業務停止してしまうことも心配です。
これは、正月にみんなでHAPPY NEW YEARをやると、携帯の回線がパンクするのと一緒で、もともと銀行のシステムも、みんなが一斉にお金を引き出すことは想定していないのです。
ただし、これ(流動性の枯渇)はたいした問題ではありません。
一時的なものであれば、通常は、銀行の銀行たる日本銀行が適当に資金供給をして救済します。

※教科書的には、このような説明となりますが、実際には、「預金準備率」を気にしている銀行はどこにもありません。では、何を気にしているのか?それは次のBIS規制に関係しています。

銀行がつぶれないようにするための規制 ~BIS規制~

BIS規制

(もし高校生が受験勉強のためにこのページを見ていたら、ここから先は試験に出ませんので読む必要はありません)

ここまでは、「世の中にあるお金の総量」をコントロールするという話です。
さらに、それとは別で「BIS規制(バーゼル2やバーゼル3)」という別の規制もあります。
ここから先はまったく別の話で「銀行に損が積もるとつぶれてしまう。それを事前に阻止しよう」という話なので、一度、頭の切り替えが必要です。
なお、銀行がつぶれて困る理由は、「勝ち続ける個人投資家のニュースの読み方」(KADOKAWA)でたくさん説明しています。

銀行が、市民から預かった大事な預金を、リスクの高い貸出先にガンガン貸したり、ハイリスク・ハイリターンの投資商品を買って儲けに走り、そこで儲かればいいのですが、損をしてしまった場合に、最悪の場合、市民の預金が返ってこないことになります。
市民から借りたお金で投資や融資事業をやっているのが銀行の実態だからです。
BIS規制は「銀行の資本金」(銀行を設立した人が出した最初の運転資金)を元に考え、「その12.5倍くらいまでしか、市民の預金を流用して、株に投資したり、融資を出したりしてはだめです」という規制です。
株投資や企業向け融資は出したお金が返ってこないというリスクがあるからです。
(上級者向け:銀行のBSを見ると純資産の12.5倍以上の融資やリスク資産を持っていることがあります。これは資産によってはノーカウントとか、半分だけカウントというようにリスクウエイトというパラメータ設定があり一律ではないためです。建築で言えば一部容積不算入のような計算法です)

銀行自体が貧乏なのに、他人から預かったお金(おじいちゃんの預金)で派手に博打を打たれると、負けたときに預金をした市民にお金を返せなくなってしまいます。
お金がなくなったら、例の信用創造という錬金術で増やせないの?と思った人は勘がいいですが、銀行の中では、お金は明確に色分けされていて、「このお金はどの用途に使ってよい」「こっちのお金は、この用途には使ってはダメ」と会計規則や法律で決まっています。
そのため、信用創造の錬金術で作ったお金で損失を埋めることはできません。

ひとことで言えば銀行とは

やっていることは、サラ金と同じだが、銀行免許のおかげで通帳(与信)が発行できる。
そのため、サラ金よりも銀行員のほうが偉そうな顔をしている。
信用創造という、経済システムの中で必要な機能を担っている組織。
お金を勝手に作ることができるというのは、はっきり言っておいしいが、管理を間違うと大変なことになるビジネスなので、簡単に一般人が立ち上げることはできない。  こんな感じです!