2016/02/26

J-REITの過熱感を計算する

日経不動産マーケット>【売買】銀座で坪2億円超の取引、日本リテールファンド
日経新聞>REIT時価総額最大に マイナス金利下、利回り魅力

香ばしいニュースが踊っている。だいたい、こういう時は相場の天井だ。

REITはマイナス金利のよい影響を受けにくい

日経には金利低下でREITに追い風とある。他でもそのような論調が強い。

しかし、借入明細をよく見るとREITの借入金のほとんど(たとえばJREなら8割方)は長期固定なので、
当面は、金利変動の影響を受けにくいのだ。

REIT各社はサブプライムの時、短期融資のロールだと突発破綻リスクがあることを知り、
長期固定を基本戦略としたのだ。
それが今となっては裏目に出たというわけだ。
すなわち、今のREITは、マイナス金利の良い影響を受けなくはないが、受けにくい。

REITにとって大事なのは、
債務の平均残存期間を経過後の日本がどのような金利水準になっているのか。
というところではないか。

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REITの過熱感を計算するには

さて、業界最大手NBFの株価過熱感は、どの程度だろうと調べてみたところ、
・物件取得価格合計 10,803億円
・年間の賃料売上げ 692億円
・購入時の加重平均表面利回り 6.4%
・賃貸経費率(減価償却を除き、売却損益を除き、租税公課を含む)35%くらい
・純利回り 4.2%くらい
・借入金合計 3,663億円
・加重平均借入 1.1%(下記より玉川計算による)
http://www.nbf-m.com/nbf/ir/borrowings.html
まあ、ここまでを見ると、多少、経費率が高いような気がしなくもないが、妥当である。

問題は、投資家がこれをいくらで買っているかだ。
NBFの時価総額は9,570億(2016年2月26日現在)ということは、エクイティ部分(≒純資産の部)の価値9,570億+借入3,663億=13,233億を投資している。
NBF公式でも期末の鑑定評価は、11,179億としており「それ以上の物件価値はないよ」とご丁寧にIRに書いているにもかかわらず、
投資家の付けた価格は13,233億(時価ベースのNAVの1.18倍)である。

そこから生まれる年間賃料が692億ということは、表面5.2%である。
経費率35%を控除すると、純利回りで3.4%という価格で投資家は買っていることになる。
借入の加重平均が1.1%である。差し引きのスプレッドが2.3%しかない。

いまのREITに投資妙味はあるのか?

確かに、国債やリスクフリーレートがマイナスなので、ベンチマークとのスプレッドは厚い。
しかし、賃料が上がる気配はなく、多くのリスクがある中で、本当にそれでいいのかよく考えたほうがいいのではないか?

こうなる理由は、購入主体が個人(年金おじいちゃん)の投資信託、地方銀行、海外ファンドなど、
素人ばかりだからである。
「圧縮積立金ってなに?」という人はREITへの投資はしない方がいい。

香港やかつてのドバイのように、完全クレイジーな水準とは思わないが、
首をかしげるには十分な過熱感だ。
ただし、日銀の買い支えなどもあり、いつ冷めるのかは分からない。
また、購入主体の内訳を見ると、多少の下落では投げ売りしない人たちばかりなので需給で持ちこたえる可能性も。

ちなみに、NBFのディスクロージャーは、透明性が高く、ほしい情報がすべて載っていて、とてもよくできている。
不動産金融のケーススタディに最適。これがすべて理解できてExcelが使いこなせれば、
REITを理解するのに他に必要な知識は少ないだろう。
http://www.nbf-m.com/nbf/ir/files/regurer/presentation_29th_period.pdf