2017/10/11

日本の地方都市の問題点

地方都市あるある

これといって特徴のない地方都市に良くある光景といえば、

[A]
駅前だけ近代的。
駅直結で「パピコなんたら」のようなカタカタ名のビルがあり、雇用促進系の施設になっている。
NHKと地銀のビルだけが立派。
線路沿いの田んぼが、たまに太陽光パネルになっている。
選挙のポスターがすべて自民党。
東京行きの夜行バスが出ているが10時間以上かかる。
地元の国立大の研究地域では、電気自動車の充電やバイオマス発電など現代風の実験施設もあるが、あまり使われていない感じ。
超田舎でも電波良し。LTE通信はどこでも可能
コミュニティバスが100円で市内を巡回している
病院の多さが目立つ。設備はそれなりに近代的。
道路と橋梁など国交省系のインフラがとてもきれい
農家はQoLは低いがオーナーとなれば東京の大卒並みの収入。農家は税金も安い。というか正規額を払っていない。

[B]
民間の建物はバブル期の残骸的のような古いのが多い。ライオンズマンションやチサン系マンションなど。
シャッター商店街だがパチンコ屋だけは立派。
大卒の若者ができそうな仕事が、公務員、地銀くらいしかない。
東南アジアの発展途上国よりもタクシーがボロい。名前はラッキータクシーみたいな感じ。
東進衛星予備校がある。
特産品は料亭に行けばうまい。だが普通の店だと新鮮な魚だが味付けがダメ、などソフト面が弱い。
駅前ホテルのレストランは和洋中なんでもアリを売りにする。
駅前よりもロードサイドに人が集まっている。車社会。
マックスバリューなどを中心に大型ショッピングセンターで買い物をしている。
ロードサイドは車の修理や車検、家のリフォーム屋など面白くない事業所が多い。
住宅街を歩いていると葬式に出くわす。
当該地方出身の偉人をマスコットにして観光誘致しようとしている。

こんな感じだろう。

地方交付税とユニバーサルサービスで生かされている

このように、並べてみると
Aの良い点は、ユニバーサルサービスと税金(多くは地方交付税交付金?)により成立していると感じる。

農家の収入が都会並み、もしくはそれ以上に高いのも、
農協ほかによる価格統制と農家保護システムが作用していることと
トゴサンと言われるとおり、なぜか税金が安いためであろう。

だが、これは政治により意図的に作られた地方の姿である。
国の支援がないとBのような、まずい点だらけになってしまう。

なので、東京から地方交付税というお金を集めて地方に送金しているわけだ。
地方交付税は金額にして毎年15兆円。消費税の全税収とおおよそ同額だ。これは小さくない金額である。

地方交付税をもらわなくても単独黒字化できているのは、
原発がある。大企業の工場がある。神奈川、埼玉、千葉などもともと都会の街。という3パターンしかない。
ほかは援助無しでは単独では存在できない、経済的には消滅都市の予備軍である。

最近は、東京でもワーキングプアーやら学費が払えないやら社会的な貧困が多いのに
地方にお金が送られて、無駄遣いされてしまう。
選挙のシステム的に、地方の人に親切にした方が当選しやすいことも関係しているだろう。
(テレビ番組の討論でも、地方交付税を減らせと言う政治家は見たことがない)

そして、地方の農家は貯める一方で使わない、使う場所もないので、お金が市中に巡らない。
おかげで農林中金は世界最大級の金融機関だ。だが、経済を悪くしている。

地方分権の意味とは

だが、政治家たちも、このシステムは、非効率であり、サステイナビリティがない。
そろそろ、やめたほうがいいと考え直したのではないか。

つまり、国が推進している地方分権とは、
地方に権利を分け与えることではなく、地方が単独で採算を合わせるように切り離すことなのかなー。という気もする。
地方が単独で生計を立ててくれれば、極端な話、消費税ナシにすることもできるわけだから。

地方には受益者負担の原則がないのが問題

空き家問題なども含め、地方の過疎化は、
バブル期のスプロール化の巻き戻しという側面も大きいと思っている。
バブル期の需要予測に沿って作られた施設などが、今さら埋まるわけがないのだから、空き家になって当たり前である。

空き家になるといっても、すでに30年も50年も前に作られた家だ。
社会での役割という点でも、すでに減価償却の済んだ、あってもなくても、どちらでもいいような
過去の遺産的な施設なのだから、あまり気にしなくていいのではないか。
個人的にはそう思っている。

それよりも、山奥のような採算の合わないところにユニバーサルサービスで電気や水道や通信を引いて
人が住めることがおかしい。

過疎とは低流動性下においてのワイドなスプレッドと同じだ。
そういうところでプレイすることを希望するならば、住民はそれなりのコストを払わなければならない。
受益者負担の原則だ。
地方には受益者負担がないのが問題だ。東京の住民がそれを負担している。

コンパクトシティ計画を成功させる唯一の方法

なので、推進すべきは地方再生ではなくて、統廃合と効率化だろう。
コンパクトシティ化を成功させるには、補助金を出すのではなくユニバーサルサービスをやめることだ。

「この地域で電気と水道を引くには、初期費用100万円、月額サーチャージ3万円。ネットは無線通信のみ」
それだけで、全員が市街地に引っ越して、人口は集合するはずだ。

地方主導でオポチュニスティックな開発プロジェクトを

秋田県の八郎潟干拓(大潟村)は日本の産業史のなかでも面白いプロジェクトだ。
教科書にも載っているとおり、広大な湖を埋め立てて、あきたこまちの大規模生産工場にした。

そして、ここからは教科書に載っていない現地の人の話。

初期は、県外から入植者を募ったそうだ。
というのも、八郎潟近辺にもともと住んでいた農家は、地盤の悪さを懸念してか、あまりエントリーしなかったらしい。
空想に過ぎないが、第一団が挫折したディストレストを拾った地元民もいたのではないか。
むかしから情報の非対称性とディストレストは利益の源泉だ。

さて、県外から一家千金を夢見て新天地に入植した移民たち。最初は大変だったらしい。
だが、国からは15町歩という広い耕作地を与えられ、15年ほど地代を払い続ければ土地は自分のものになった。
これが現在では、15町歩で売上げ2000~2500万円、手取りは1000万円を超えるとのこと。
そして、いまこの土地を売れば1.5億になるそうだ。
現在の大潟村は、家々は広くてこぎれいで、たまに高級車が駐まっていたりもする。

大潟村の干拓記念館を見ると分かるが、
1989年(平成元年)くらいからはエンターテイメント施設を増やすなど、計画に余裕が見られる。
また、1997年(まだパソコンオタクですら常時接続は最先端だった頃)
すでに村に独自のインターネット網が導入されるなど、どう見ても、お金が余っていることがうかがい知れる。
いい言い方をすれば、干拓プロジェクトは利益膨大で、昭和のうちに、すでに幕を閉じたわけである。

このようなオポチュニスティックなプロジェクトを地方が作るべきである。
農業など、地方にあり余る土地をテーマにするものや、介護でもいいだろう。
東京から引っ越してでも勝負したくなるような挑戦的プロジェクトを
地方再生の原動力にできれば、それが一番良い。

なんだかんだで人は経済合理性のある選択肢を選ぶ。
儲かりそうな話が転がっていれば東京からも多くの人が拾いに来るだろう。

ビットコインなどよりも、地方振興プロジェクトに投資妙味があると思えればいいわけだ。
福島の復興しかり。地方はすぐに賑やかになる。