[6-2] 契約実務手順(賃貸:書式編)
契約書・重要事項説明書・東京ルールのポイント
1.契約書
書式は全宅連のwebから書式をダウンロード(全宅連の会員限定)することができます。
ちなみに書式は宅建業法に規定されている内容さえ盛り込んであれば協会の作成している書式を利用する必要はなく、大手も含め、そのまま利用している業者は少数です。私も個人的な感想として、全宅連作成の書式には記載してもあまり意味のない項目が多く、業務効率の面で独自書式を作成した方が良いと思っています。
しかし、この書式を利用するメリットもあります。その利点の一つには、協会作成の書式には英語版が用意されているというところ。また、オフィシャル書式なので契約文言に対するクレームに強く、全宅連の提携弁護士に相談しやすいというのも魅力です。
契約書のポイント
契約書の主なポイントをまとめました。
□賃料(税込みor税別)
□敷金、礼金(通常は共益費を除いた賃料のみのx倍であることに注意) □共益費 □その他設備利用費用(看板、駐車場など) □普通借家or定期借家 □何ヶ月前に解約予告(通常は住居系1~2ヶ月、事務所3~6ヶ月前)申し込みが必要か □保証人を立てるか保証会社を利用するか □早期解約ペナルティ(1年以内解約は賃料2ヶ月徴収など) □フリーレントの特約 □日割り精算書の作成(月の中旬以降から入居の場合は、当月+翌月の賃料を入居時に支払うのが一般的だが、決まっているわけではないので交渉可能な事項) |
また、次のような特約事項の確認は重要です。
セコム加入の有無(セコム費用支払い者)
スカパー、CATV、インターネット(費用は賃料に含まれているか) 事務所、店舗の場合、看板や宣伝を事前許可制にするなど |
2.重要事項説明書
重要事項説明書のポイントは、下記の通りです。
□登記簿を見て抵当権が付いている場合は、その旨を記載する。
□解約の方法 |
3.東京都賃貸住宅紛争防止条例説明書(東京ルール)
下記に東京都都市整備局 住宅政策推進部不動産業課 オフィシャルの詳しい説明があります。
http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/juutaku_seisaku/tintai/310-4-jyuutaku.htm
ポイントは次の通りです。
[適用される範囲]
・東京都内にある居住用の賃貸住宅(店舗・事務所等の事業用は対象外) ・平成16年10月1日以降の新規賃貸借契約(更新契約は対象外) ・宅地建物取引業者が媒介または代理を行う物件(大家が自己募集する場合は適用外)
[説明する内容] ・入居期間中の必要な修繕は、貸主が行うことが基本であること ・賃貸借契約の中で、借主の負担としている具体的な事項 ・修繕及び維持管理等に関する連絡先 |
このフォームには、「設備等の修繕及び維持管理等に関する連絡先」いわゆる管理人の連絡先を記入する以外は、東京都の作成した書式をそのまま利用し、書き換える箇所はありません。
4.その他の物件調査
下記は、重要事項説明書の説明義務外ですが、確認をしておくとトラブルを避けることができる事項です。
近年では、SOHO事務所として住居系物件を利用する人も増えています。
・住居系物件に会社として看板や表札を出すことが禁止されていないか
・住居物件にもかかわらず宅急便や来客が頻繁に来るビジネスではないか ・共有インターネット回線の場合、どのような接続形態(グローバルIPアドレスが取得可能か)になっているか |
事務所の場合
・電源容量、また電源容量が増設可能か
・電話回線の敷設可能数 ・耐床荷重。一般のオフィスビルは、床の積載荷重:300kg/㎡程度ですが、サーバー機器などを多く置く場合、これを超える可能性があります。建物に負担がかかるばかりでなく、火災や事故が発生した際の法的問題にもつながります。 ・ゴミの出し方 ・事務所の利用可能時間帯(通常は24時間使用可)、冷暖房の利用可能時間帯、管理センターの運営時間 |