[A8-2018] ミャンマー(ヤンゴンの経済と不動産)

ヤンゴンの街並み。まだあまり高い建物がないが値段は高い。

工業団地

→多くの日本企業が工場や組み立て現場を構えている。現地駐在の日本人は3,000人。個人事業も多くいる。

□主要工業団地
・ミンガラドン工業団地
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%AC%E3%83%A9%E3%83%89%E3%83%B3%E5%B7%A5%E6%A5%AD%E5%9B%A3%E5%9C%B0
・ダゴン工業団地
・タケタ工業団地
・最大はティラワ工業団地(経済特別区(SEZ)である)
もともとは何もなかった場所。JICAの円借款で送電網と道路を整備。ワコール繊維、クボタ農業機械、王子製紙、フォスター電機自動車用スピーカーなど。
http://myanmarjapon.com/special1511.html

日経新聞>ミャンマーで初の大規模工業団地が開業 日本が共同開発
2015/9/23 20:15
14年春の区画の先行販売開始以降、日本やミャンマー、米国など13カ国・地域の47社が進出を決めた。王子ホールディングスやワコールホールディングスなど半分が日系企業
5万~6万人の雇用が生まれる見通しだ。

住居、複合施設系

→背の高い建物はあまり多くない。

□高級な住居
・もっとも高級なのはインヤー湖の南側(インヤー・ロード)
一区画10億円オーバーの邸宅が多数。売り物が出ないのでプライスレス。
ただし邸宅と言っても外観はインドネシアなどに普通にありそうなグレードの家(敷地は広い)

 

近代的なショッピングモールは存在する。高級品の値段は世界のどこでも概ね同じ。アジアではよく目にするコンドミニアム販売@ショッピングモール
□主要ショッピングモール
・ミャンマープラザ(ミャンマー最大のモール。Meliá Yangonホテル併設)
https://www.jtb.co.jp/kaigai_guide/report/MM/2016/05/post_3.html
・ジャンクション・スクエア(5年前はここしかなかった。モノの供給が不十分な時代)
・シャングリラホテル併設のショッピングモール
・パンパシフィックホテル併設のJunction City(2017開業)

 

□主要コンドミニアム
・スターシティー
・Crystal Residences(ジャンクション・スクエア併設)
→品質はフィリピンレベルでよろしくない。それにも係わらず170㎡くらいでUSD 644K(7,000万円)と割高感あり。

 

 

不動産事情

→正規ルートでは外国人の不動産保有はできない

・登記は税金がかかるため99%の不動産は登記されていない。そのため、契約書だけで売買する。そのため詐欺も横行。大手や信頼できる売主が必要。
・土地と建物の所有者が違う場合は両方の許可が必要で、土地オーナー許可が出ない場合は問題となる。

・余っている土地、すぐに統合できそうな土地が多いように見えるが、ヤンゴン市内の不動産は高騰している。また、政府の土地、軍の土地、民間の土地、民間所有だが軍の息がかかっている土地など権利関係が複雑とのこと。下手に売買すると危ない土地もあるとのこと。

不動産での利益の出し方

→国策開発の情報リークを先取りして土地を買い占める。もしくは、軍や政府の関係者と結託して不動産開発するのが基本。

・ヤンゴンから橋を渡って左側のラインタヤでは中国人が国策開発のインサイダー情報を元に土地を買い占めている

・コンドミニアム建設予定地の住民に等価交換を持ちかけて説得するのが常套手段で効き目がある

・1sqftあたりの建築コストは36,000チャット。坪10万円。1,000万円++で60㎡×6階建て=360㎡が建築可能。建築資材の質はまったく異なるものの日本の1/10程度。

・スラムでも中心地に近いエリアは高騰している。スラムの掘っ立て小屋の賃料も月2-3万円くらい(安くない)ではないかとのこと。
中心部のスラム街の中のこぎれいな物件は、一部屋500-800万円くらい。安く買って日本人に貸すなどすれば賃貸利回りは50%近くになることもあるらしい。

・日本人はインサイダー情報で儲けを企むような商魂のあるプレイヤーはいない。

・10年前に比べて100倍近くに高騰した土地もあり

・外国人の不動産保有はできないが、その規制をかいくぐって日本人が保有したい場合。信頼できるミャンマー法人に保有させる>その法人の株に質権設定する>ミャンマー法人に資金を貸し付ける

不動産ルール

・賃借権の考えはない。貸主が契約打ち切りといえばそれで終わり。契約は3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月など短期で結ぶため立ち退き(というか期間満了による退去)は難しくない

・完工証明書(BCC)がない物件はオーナー居住はOKだが賃貸に出すと逮捕される(この逮捕は実際にされる可能性があるらしい)

 

ワーカーと賃金

→賃金はアジア途上国の中でもかなり安い。バンコクなどの半分以下。人はすぐにやめてステップアップ転職してしまう。

□モデル賃金
・低クラスワーカー 150USD/月
・マネージャークラス 300USD/月
・Java Rubyができる人でも 200-300USD/月
バングラデシュのほうがITには力を入れているとのこと。
最低賃金は日3600K(約300円)から4800K(約400円)に引き上げられた。

・英語ができるSEまとめ係(ブリッジ) 1500USD/月もあり
→まだ国内のITワーカーのレベルが外国から仕事を受託できるレベルに育っていないとのこと
・大企業の幹部などでは月100万円程度の給与の人も希にいる

・社内での人種差別などもよくあり、労働環境のルールはない様子。

消費と購買

→先進国のモノを持っていってテレアポや訪問などできちんと営業すれば売れる消費フェーズ。テレアポでもマネージャーが会ってくれる。

・フェイスブックやインスタグラムに表示される広告に日本人よりも高確率で目を通す。それが購買につながる
・タナカという顔に塗る民族、宗教的な化粧が特徴的だが、近年ではそれは減って、欧米的な化粧が増えているらしい。

金融機関と通貨

→不動産担保で事業資金を借りている事業家が多い。融資金利は13.6%(チャット建て)と高い。無担保融資はほぼ存在しない。
→普通預金は8.25%(チャット建て)
→消費者金融は月20%などで金利制限も取り立てにもルールなし。借りたら返せない。夜逃げする人あり。
→海外からの正規送金は不可

・ミャンマーチャット、単位はK(kyat) 通貨記号はMMK
12.5MMK=1JPY(訪問日現在) 、2012年4月1日から管理フロート制(管理変動相場制)で米ドルとの相関が強い。

・送金制限回避のため、地下ブローカーを経由して、国内現金を担保にして海外で資金を受け渡すなどTransferwise(エストニアのアプリ)のようなことをしている様子。

税金

→日本との租税条約なし
→ほとんどの人は税金を払っていない。かわりにミャンマーの収入は軍が稼いでいる

・個人の税率は累進課税で最大20%だが40-50万チャット(4-5万円)/月以上を稼ぐサラリーマンくらいしか払っていない?
・法人税は25%だが払っている中小企業は少ない

https://www.pwc.com/jp/ja/japan-knowledge/archive/assets/pdf/myanmar-business-guide.pdf

経済成長

→年間10%程度のインフレをコンセンサスとしてイメージしている様子

・インフレにならないと地価が下がり不動産担保の不良債権が発生するため政府はインフレ策を推進
・経済的な競争相手としてはベトナムを意識している

富裕層とビジネス

→自動車輸出入からの不動産転売、金銀鉱山など国家資源の利権獲得などが富裕層への道

お金と文化制度

→ホームレスや物乞いはいるものの多くない。物乞いは組織化して募金収集ビジネスになっていることもある

・結婚するまでが親の仕事で、結婚した後は夫婦で親を食わしていく文化
・貧困で親に捨てられてしまった子どもは寺院の坊主として養われている模様

居住権

→正規の方法ですぐに取れる。定期的なアップデート必要。品川のミャンマー大使館は厳しいのでタイのミャンマー大使館に行った方が良いらしい。

病院

→ミャンマーには良い病院施設がない

タイに行ってクレジットカード会社の旅行保険を使って治療するのが良いとのこと。
(日本居住者で連続180日以下の海外渡航であれば「旅行中」と見なされ、年間180日の居住制限などもないらしく、たまに日本に帰る程度でほとんど海外の人でもOK。アメックスの海外保険が秀逸とのこと)

自動車と渋滞

→渋滞はバンコク中心部ほどではないが深刻な問題
→日本の中古市場ならば20-30万円もしないボロいトヨタのプロボックスが多数走行している。タクシーはすべてプロボックス。この車種はミャンマーで買うと200万円程度するとのこと。

・車は5年前に比べて車は2倍くらいに増えたのではないか
・車が増えすぎて一時期はナンバープレートの新規発行を停止していたが再開。そのおかげでナンバープレートが数十万円で取引されることに。
・ヤンゴン市内はバイクの走行禁止(すばらしい施策)
・日本からの中古車輸入業者は儲けていたはずだが、現在では日本仕様の右ハンドルが輸入禁止となった(ミャンマーは右側通行のため)
・では、左ハンドルの中古が流行るかと言えば、近年では新車を買える人が増えたので新車に行くのでは?とのこと。

制度とルールの運用

→制度設計自体は日本よりもよくできている点もあるが運用がまったくだめというのが多い

・家の解体時にも市の職員が適切に壊しているか見に来ているが、ただ見ているだけの様子
・政治家は賄賂をもらう
・交通死亡事故などのもみ消しも賄賂で可能(相手が普通のミャンマー人であれば)
・売春は多いが麻薬は少ないらしい

日本人には想像しにくい軍の役割

→軍は攻撃や防衛の機能だけではなく、国全体を支配する組織である
→軍は国営企業を作って幅広く大きなお金を稼いでいる

Bandula Transportation
Parami Bus
Myawaddy Trading
Five Stars Ship Company
Myawaddy Bank
Virginia Tobacco Company Limited
Myawaddy Tours & Travel
Myawaddy Enterprises Group
Pyininbin Industrial Park (in North Yangon’s suburbs)
UMEH Textile
Jade mines (in Kachin State)
Ruby and sapphire mines (in Shan State)
Burmese military, which directly ruled the country for almost 50 years, UMEHL has exclusive access to secure preferential contracts with foreign firms.[8] Most FDI in Burma is done through joint ventures with UMEHL.[15]

今の政権になって「何でもあり」時代は終わった

雑感

→全体的な方向感は悪くない国
→官僚の私腹を肥やさず、きれいな政治で近代的な統治ができるかがポイントか

・タイなどの発展途上国と同じく、アンダーグラウンドで官僚とのつながりがあれば、いろいろな正規許可が取れてしまうので賄賂がなくならない
・アジアでも最安と言える賃金だが、人々の仕事の仕方はそれなりにまとも(タイよりもワーカーの質は良さそう)
・軍政だからか宗教柄か、街中に金目当ての詐欺的な客引きなどは少ない。タクシーも基本はぼったくらない(6)正しいでしょうか?
・ベトナムと列んで人々はまじめで賃金が安いため、もう少しインフラ環境が整えばアジアの工場になりえる。中国、タイなどからミャンマー、ベトナムに労働集約の組み立て工場が移るのではないか。
・制度設計がきちんとしている(日本やシンガポールをモデルにした?)ように見えるので、運用面がきちんとなれば期待の持てる国
・インフラがほとんど整っていないため逆に言えばレガシー資産がない。最新の機器や設計思想をいれやすく後発組の利点が生かせるのではないか。
・政府と軍の利権や勢力争いをうまくまとめられるかがポイントか


2018/03/19更新