[E1-2010] マルタ(不動産)

マルタ不動産の基本ルール

[買える場所]

 外国人が買える場所は限定されています。賃貸不可で自己使用のみというエリアもありますので要確認。

[価格]

 街全体が世界遺産というバレッタという街(首都)の目抜き通りであるRepublic Streetの店舗などは、25平米で3Mユーロという相当な値段本当なら坪5,150万??東京銀座の値段がする場所もあります。

[契約]

日本にはない条項もいくつかあります。

ティニアポイント開発地区の場合の例

99年間の借地(Emphyteusis)

・借地料は当初15年間は平米4.31ユーロ(年間500ユーロくらい)だが、数十年ごとに最大8.62ユーロまで上がる。インフレ連動の様子。

・Selection By Purchaser 内装は作るときにいくつかのパターンの中から選べる。キッチン以外は購入費用に含まれている。

・Vendor’s Alterations and Completion 建築計画が国から変更を要求されたり建築プランが変更になった場合は最大5%まで契約価格が値上がりすることがある。これ日本にはないですがドバイにもありました。

・細かな瑕疵は購入後2ヶ月以内に申し出れば開発者負担で修繕。大きな瑕疵は20年保証。

・Peaceful Possession 専門用語らしい。物件に対して占有者や所有権を主張する第三者が出てきた場合は開発者を訴えて良い。

・最初の3年間は開発者が管理組合を運営するがその後は管理組合の委員長は居住者の代表がする。

・12,000ユーロを常に何かあったときの担保として管理組合に供託しておかなければならない。当初の供託金は購入費用に含むが、何らかの事情でそれが当該金額を下回った場合は補充しなければならない。これも日本にはない。

・スイミングプールを使う場合のメンバーシップは別料金。

・転売するときは借地権をきちんと精算する義務

・引き渡しは最大3年遅延する可能性を含む。3年を超える遅延が発生した場合はMalta base rate+1%の利子を付けて返金する。

あ、借地なんだ。とは思いましたが、他はそんなにワケの分からない条項はありません。日本ともそう大差なく、さすがイギリス式の法律体系でまともなのですが、他の開発プロジェクトだと、日本だったら2年くらいで余裕で終わりそうな工事が7年かかっているおかげで分譲価格が高いなど、あり得ないことが起きていることもあるようですので気が抜けません。

あとは、マルタに限らずですが、スイミングプールはメンバー制で別料金とか、日本だったら説明しなかったら大クレームになるようなことを海外では、誰も説明しないこともあるので注意が必要です。

購入契約をした時点で、手付金を放棄しての購入キャンセルはできない。とのこと。こんな致命的なことまで、人によって言うことが違うので、自信満々に説明している話でも信じると危険。書面でもらった契約書を自分で読むしかありません。

[銀行借入]

 日本との一番の違いは、契約金5,000ユーロ、初回支払い15%,二回目支払い20%,最終支払い65% と数回の分割になっている点と、外国人にすらEURIBOR+1.2%で65%のローンを付けてくれるというところでしょうか。これを利用しない手はありません。この段階的な支払い、そして竣工時に大半を支払うという仕組みはドバイとほぼ一緒で、ドバイが破綻した理由だったりもしますが、マルタはちゃんと考えてるから大丈夫と言っていました。

マルタの不動産

Portomaso

  

今のところ、国で一番の一等地と言って良いPortomaso(ポートマソ)の現場。「5年で50%くらいは上がる。ラトビア人が6部屋まとめて買った。売れ行きがよいので10%ほど値上げしようとしている。なので値引きは無理」と言っていました。Portomasoにアブラモビッチが船を置いているのも地元では有名なようです。このマリーナはもともと岩だったところを爆破して人工的に作ったのだそうです。

 

非常に面白そうなのですが、ひとつ問題は、この国は賃料が安く、そして金利が高いという点。このようなプライムな場所でも、眺望が普通だったりすると 800ユーロ/月くらいだったりします(実はこの物件からは写真のマリーナは見えません。物件の裏側がマリーナ)そして、国中探しても2,500ユーロ/ 月 以上の賃料の居住用物件は見つかりません。これは、居住権を得るには物件の所有が必要なので、富裕層の外国人は賃貸に住むことはありません。賃貸はに主に あまりお金を持っていないマルタ国民やワーキングビザ保有者が住むため相場が安いのかなと推測します。

Portomasoのこの物件、350Kユーロくらいなので、利回りは3%くらい。円で借り入れする場合はこれでも問題ないのですが、ユーロで借り入れ るとプライムレートでも4%くらいするから、賃料収入は金利支払いで全部消えてしまって、月々の支払は持ち出しになってしまいます。 値上がり益も含めて考えなければ投資として成立しません。国自体のインフレ率が4%なので当然に値上がり期待は持って良いのですが、日本人の場合、租税条 約がないので日本の税務署にもきちんと申告すると税金が二重で取られてしまいます。

fortCAMBRIDGE

fortCAMBRIDGEは首都バレッタの北に位置する半島部分です。このプロジェクトは良かったです。完成すれば、マルタでは一番の高級コンドミニアムとなる予定です。

 

なんと教会の中にセールスオフィスがありました!販売が終わったら元に戻してまた教会に戻るそうです。this is the blessed project!(神に祝福されたプロジェクト)と言っていました。英語でうまいこと言うってのはこういう感じなのだなと。

 

マンション建てました。という作り方ではなくて、六本木ヒルズなどのように街全体を作っているプロジェクトなのでまとまりがよい。

 

俯瞰の写真とプール部分のCG

スペックとしては次のような感じ。

・300Kユーロ~1.7mユーロ,80平米~600平米

・一番安い部屋で245Kで2bed room 130平米

・190平米+テラス50平米で500Kくらいが眺望がまともで中心価格帯

一番大きいのは600平米で1.7Mユーロの部屋だがすでにカザフスタン人に買われている

販売開始から2年で65%売約済み。竣工まであと1.5年

・契約金15%,外装完成時20%,残金65%だが65%は外国人でもBank of Vallettaから借入できる

・購入者の90%は借入で買っているとのこと

 

窓から世界遺産と地中海がが一望という部屋もありましたが、すでに売り切れ。2Mユーロくらい。誰が買ったの?と聞くとだいたい北欧かオイルマネー。日米とは客層も違うのだなあと。

CAPレート、ネット利回り、DCFという計算はこっちではしないとのこと。あえて計算するならグロス利回りで3~4%と借入金利をまかなえない程度の賃料利回りです。ですが「その計算は必要ない。毎年5%ずつ値上がりするから大丈夫!!」と言われました。中国やイスラエルなど景気の良い国でも同じ事を言われたのを思い出します。この訪問の後に欧州危機がマルタを襲ったはずなのですが、どうなったのか気になります。

なお、日本と違って、共有部分の設備ではなく、眺望がすごく重要なのが海外の不動産市場なので、日本では有利な高級物件の安い部屋という買い方は通用し ないのかもしれません。そして、このプロジェクトが完成して5年後には、地図上のfortCAMBRIDGEの南西にある島、fortManoelにもっとスゴイのを作ると言っていました。(2012年3月現在、それらしきプロジェクトはweb上で発見できず)

すごい物件(貴族の家)

 

もうこれ、家ってレベルじゃねえぞ。という感じで、今まで世界中見て回った物件の中で一番スゴイ!!

美術品やら家具、カーテンもそれぞれひとつ数十Kユーロするものだそうです。これが家具も全部合わせて、400平米で2Mユーロ(2.5億円)は安いんじゃないのか?と思ってしまうくらい異次元の物件。宝くじ当たったら買いたいです。

 

右側の扉が入り口。For Saleの張り紙を見逃さなかった私。

場所的にはMdinaという地区で元は貴族限定の住居エリアだったところです。Mdina地区はUNESCOのTentative listに入っており、次に世界遺産に指定されるかもしれない場所の中にある物件です。Mdina内での売り物件は現在ここ1件だけという唯一無二の場所で、この地区は貴族が先祖代々から後世に引き継いで所有するので売り物件は基本的に出ることがなく、ここの所有者はイギリスの偉い人とのことでした。

 

来週はBBCの 世界のスゴイ家 というコーナーの取材が来るそうです。確かにスゴイのだ。

世界史を履修していない私ですら歴史の重みを感じることができました。貴族ってこういうところで社交会とかやってるんだろなあと。当然、メイドルームと馬小屋もあり。(昔どこかで、ホントにすごい家には貴族を迎えるために馬を留める場所があると聞いたことがあるのだけど、おお、これか。という感じでした。) そして、メイドルームは、虐待しているのかというほど小さくて狭いところに押し込められているのも、中世ヨーロッパの歴史観そのままです。

写真を見返してみると、圧倒される感じが伝わる絵がないのが残念なのだけど、とにかくすごかったです。映画のセットの中に入ったような感じで、不動産エージェントが執事さんに見えました。当物件、トルコの大使館が賃借したいと言っているとのことです。

おまけ 本物の貴族の家

 

こちらは、本物の貴族の家で、すでに博物館になっているところです。さすが本物は眩いばかりの輝きを放っているのですが、博物館になってしまった時点で、それは不動産ではなく美術品となってしまい、経済的な価値とは切り離されてしまいます。つまり、個人で所有すること、個人が住むことを想像するドリームハウス的なロマンはなくなってしまうので面白くないわけです。これだったらベルサイユ宮殿の方がスゴイ。とか言う人が出てきてしまったりとかね。

マルタのまとめ

旅行に良し、住むに良し、物件も安い、将来性もアリ、ということで、車の排気ガスがひどいという以外はすばらしい国です。場所的にもヨーロッパ全土へ格安エアラインで気軽にアクセスできます。投資対象としてはともかく、居住権を取るには適していると思います。


2019/03/15更新