[2019]モルジブ(マーレ・中国の一帯一路)

高級リゾート島 モルジブの光と影


偶然にこの写真を見つけて興味を持った島。モルジブのマーレ。なんとも美しい街並み
世界広しといえども、リゾート島でこの建物の密度はない。まるで限界まで人口を増やしたシムシティ、もしくはTropicoのようである

ここで何が起きているのだろう。どのような街なのだろう。そう思って様子を見に行ってみた

世界でもここだけといえるマーレの高密度な街並み

マーレは、モルジブのリゾートのイメージとは一線を画するモルジブのバックヤード的な街。南の島の楽園は、とんでもなく住みにくいQoLの低い島だった


マーレは世界有数の人口密度を誇る。といえば聞こえはいいが、現地はなかなか凄惨たる状況
マーレは現地人が生活する場所であり、観光客はここへは立ち寄らず離島へ直接行く


雨の日のラッシュ時の新橋駅烏森口のよう。狭い場所で大混雑。
どうしてバイク禁止にしないんだよ!としか言いようがない。バイクを乗り回すほど広い島ではないはずだ

 
ようやく空いている場所を見つけてひと休み
とにかく人口密度が高く、汚い、ゴミが多い、QoLが低い。青くて美しい海、青く晴れた空とは対象的。まるでゲームのよう。滑稽ですらある。


水道管らしき配管が露出配管。確かに、この地で給排水管が壊れたら既存の修理は厳しそう。


Human Trafficking(人身売買) やめて。という広告
これを見るには貧しい人たちもたくさん住んでいる国であることが分かる。建設業や観光業はバングラデシュ、インドなどから騙されて強制労働で来ている人が多いとのこと

   
マーレには小規模な火力発電所があり煙を上げている。大きな発電所は別の島(ティラフシ島)にある。

高級リゾートを支えるバックヤード – ゴミで汚染されたティラフシ島

https://www.amusingplanet.com/2017/03/thilafushi-maldivess-garbage-island.html
https://maldivesfinest.com/trash-island
このあたりにも書かれている通りだが、ティラフシ島はゴミで埋め立てて作った島。一昔前の話だと思うが、ゴミが焼かれて大変なことになっている。
国際的な批判を浴びていた。


ゴミを焼いて煙が上がっているカ所の右側は、現況では浅瀬。これはどこだろうと思って調べてみると


ゴミを焼いていたのは、このオレンジの部分。
従い、この左側は新規にゴミを埋め立てて作ったと推測できる。

新たな埋め立て島 フルマーレ

狭すぎるマーレからフルマーレへ


現在はマーレの北部に新市街フルマーレを開発中。まだ開発中ということもあり、店も少なく人影もまばら。
おそらく価格水準が違うのでここで生活できる現地人は少ないのではないか。

“to provide affordable housing for the people” つまり、マーレは、土地が狭くて家も狭いからQoLが低い。フルマーレに新たな住宅を作って安価に人々に提供する。という計画。
10,080世帯の住宅を作り10万人が住む予定とのこと。

現地人向けのアパート


現地人向けのアパート。affordable とは、いくらくらいなのか。
現地人に聞くと、7500ルフィヤ×7.2=54,000円/月くらいの賃料。確かにあり得る金額。タクシーの運転手が住んでいると言っていた。25年リースでそれが終わったら立ち退きしないといけないらしい。

しかし、人民のために住宅提供する目的。としつつも25年リースであるところを見ると、それは表向きのスローガンに過ぎず、
25年後は中国資本の高級コンドミニアムに?という、ありそうなシナリオが思い浮かぶのは考えすぎか。

モルジブ流の工事現場がすごい

  
新築の現場。水道で足を洗う作業員
よく見ると、とんでもない現場だが、すいている、天気がとても良い。リゾート的な場所。ということもあり、のんびりしている というか、凄惨な印象は受けない


ビーチ沿いのホテルは新しく、小さなホテルは、すべてモルジブの地元民が経営とのこと
ホテルの管理者がいうには、モルジブでは外国人100%でホテルをやるのは不可で現地人のパートナーが必須
海も普通にきれい。ホテルは離島にとるのが基本だがどうしても都市部を見たければフルマーレにとったほうが良い

リゾートの島


通常、モルジブといえばこのイメージ。メルキュールホテルより
観光部門がGDPの約3分の1(Wikipedia)

一番良いホテルは
Jumeirah Vittaveli(ジュメイラ ヴィタヴェリ)
安い時期でも一泊10万円~。いい部屋だと数十万円。一番高い部屋は3500平米で一泊300万円くらい。大部屋は大人数用の様子
ジュメイラなのでUAE系列のはず。

リゾートホテルは離島をまるごとホテルベデロッパーが買い取り(貸し切り?)独立した島として運営しているスタイルが多い
予算の都合上(?)、リゾートの島には行っておりません


モルジブは文字も特徴的でおもしろい

モルジブの政治

政治的なヒーローはMohamed Nasheed(2008-2012大統領)ということになっている。
南の島の大統領-沈みゆくモルディブ-という映画化もされた。

彼は2011–12 Maldives political crisisという事件により追放された。「ナシードは銃を突きつけて辞任を余儀なくされたと述べたが、ワヒードの支持者は権力の移譲は自発的かつ憲法上のものであると主張した」(Google翻訳)
要は、国が貧しいままだからクーデターが起きた。ということらしい。
その後、Nasheedはテロ容疑で有罪判決を受ける。大統領が新しくなると前大統領が投獄されるなど発展途上国にありがちな政治

ところが、2018年になりNasheedの有罪判決が取り消された。(November 26, 2018 COLOMBO (Reuters) – The Maldives’ Supreme Court on Monday canceled a 13-year-old jail sentence imposed on former president Mohamed Nasheed for a terrorism conviction,)

クーデターによりMohammed Waheed Hassan(2012-2013)が大統領になったが不評?2013年に選挙で負けて、Abdulla Yameen(2013-2018)が大統領に。このYameenが親中国派であった。また反対派の政治家を次々に逮捕するなどやりたい放題であった。

そのため、2018年からはまた違う人(イブラヒム・ソリ)が大統領に(後述)

中国の一帯一路の影響

モルジブ・中国フレンドシップ橋


以前は空港からマーレへ行くには船便しかなかったが中国が橋を作った。確かに、この場所には橋があるべき。無駄な工事ではないはずだ
橋にはモルジブ・中国フレンドシップ橋と大きく書かれている(開通= 30 August 2018.)


発展途上国によくいる、ただ景色を見てたたずんでいる現地人

マーレの一番良い場所には中国企業がコンドミニアムを建設中

 

中国から金を借りすぎて債務の罠にはまった

https://www.reuters.com/article/us-maldives-politics-china/after-building-spree-just-how-much-does-the-maldives-owe-china-idUSKCN1NS1J2

中国にUSD 3.2B(3,200億円)も借りて橋やら埋め立てやら、いろいろ作ってしまった。とモルジブは主張するが、中国人は、いや1,500億円だけだ。と言っている。モルジブ側と中国側で公表する債務の額が食い違うなどいい加減。

中国側が言うには、中国からの借入は現況でUSD 600M(600億)だけであり、それは、空港<>マーレを結ぶ橋、空港の拡張、フルマーレの埋め立てに使われている。
うち、橋は210億円で、ほぼ全額が中国と中国系銀行からの融資($210m Friendship Bridge, funded mostly by a $126m Chinese government grant and a $68m loan from Export Import Bank of China.)

残り900億はフルマーレに住居を建設するために予約されているが、まだ融資実行には至っていない。
600億はモルジブが国として借り入れ、残りの900億はモルジブ政府保証付きで(実質的には国と同等の)他の主体が借りている。

島の開発権益を中国に売り渡してしまった

Yameen という前大統領(~2018)は中国と仲が良かった。モルジブが北京に大使館を開設した2010年以降、モルジブは離島のいくつかを中国のリゾート開発会社に売り渡した
推測に過ぎませんが、このパターンは、発展途上国の大統領あるある。かなりの確率で賄賂をもらっている可能性!?

2016年にはOlhuveli というモルジブ最南端の島に、モルジブ最大の開発規模を誇る509部屋のリゾートが中国資本により作られた。作られたホテルがこちら。

このパターンは、スリランカがハンバントタ開発の借金のカタに、コロンボのシャングリラ前の埋め立て権益を売り渡してしまったのと似ている。

こんなことになっちゃっていいのか?モルジブ?

“Which other country came with an offer to put a bridge here?” he adds. “Can any of these people talking about transparency come with the answer to my question? Our big brother India, did they come? No.”

中国以外にこのような支援をしてくれる国なんてなかった。兄弟国のインドですらNoだった。とのことで、
あまり後悔している様子もなく、仕方ない。と思っているようです。

2018年の新大統領は脱中国を目指す

2018年からの新大統領は親中国路線を変更してインド寄りに戻した

新大統領になり、インドから1,400億円程度の融資枠を得ているので、だいぶ資金繰りは改善され、
中国にすべてを乗っ取られるシナリオは避けられたのではないか。日本人にはなじみが薄いがインド洋ではインドの支配力が強い様子

(2018年12月17日、イブラヒム・ソリ大統領がインドを訪問。この時点で、前政権の放漫運営のため公務員への給与支払いにも窮するほど国家財政はひっ迫しており、インド側に財政支援を要求するためであった。これに対してインド側は、14億ドルの融資枠と通貨スワップを提供を承諾。前政権が試みた中国の経済圏への接近から一線を画し、再びインドの経済圏へ接近する姿勢が明確となった[2]) Wikipediaより

大統領が変わると、前大統領の放漫経営が露呈して国庫に全く金がないことに気付くここでもまた、発展途上国あるある。


新大統領は島と島を橋で結ぶことを公約として掲げている様子

南の島の大統領-沈みゆくモルディブ-という映画

半分くらいまでしか見ていないが、ナシード大統領は、ちょっと気候変動に偏りすぎだったのではないか。

足下では貧困にあえぐ民が多数いる島で、コペンハーゲンやアメリカで演説をしている場合なのか。世界と交渉して、世界に影響を与えることを大統領が楽しんでしまっているようにも見て取れる映画。
教育や医療の費用を削ってまで、世界に先駆けて太陽光を導入するべきだったのか。大企業でなければなしえない仕事を個人でやっても成果が上がらないの法則にはまっていないか。

ナシードの前に30年独裁政権で悪いことをしていた大統領を追い出して民主化を推進したという点ではすばらしい政治家だが、
理想が高すぎたのか、正義感が強すぎたのか、話し合いで世界を救えると思ったのか。やはり貧しい国では気候よりも経済フォーカスが大事だと思うんだけど。

という感想。

感想

これだけの観光資源があっても、政治が腐敗していると、ゴミに埋もれ、人々は狭い檻のような家に住む。島も中国に取られてしまう。
島のきれいなところを楽しめるのは外国人だけ。国民は貧しいまま。政治がきちんとしていることは非常に大事
日本はこの先も大丈夫だろか。政治の腐敗を監視する役割の人が必要だ。


2019/03/15更新