[M3-2010] イスラエル(テルアビブ・不動産)

イスラエル建物物の特徴

建築については、イスラエル人の建築家に話を聞きました。


イスラエルの建築家のアリエさんと。

基本的にイスラエルの建築は、モダニズムの影響を強く受けており、バウハウス(ドイツ)の影響が強いです。テルアビブの建市当初はアメリカとの交流がほとんどなかったため、ヨーロッパの影響を色濃く受けています。

日本と比較したときに次のような特徴を発見できました。

【防衛上の理由によるもの】
有事の際に逃げられるシェルター設備を持つことが法律で義務づけられているのはユニークです。また、シェルターには高圧装置の設置が義務づけられており、高圧が発生するのでシェルターから外部に気流が流れ出ます。そのため、毒ガス攻撃(!!) されてもシェルター内にはガスが入ってこない仕組みになっています。

 

シェルターの壁は法定20cm以上と決められており、これは耐震にも役に立っているとのことです。このシェルター、有事の際には本当に役に立つのか?と 聞いてみたところ、(まあ気休めだね。という答えを期待していたのですが、)イスラエル人はスカッドミサイル程度ならシェルターに入っていれば問題ないと 信じているようです。(これはすごい洗脳だと思いますが。)

ちなみに、昔は飛行機で爆撃に来たので、空襲警報が鳴ってから避難開始すれば間に合ったが、現代はミサイルなので30秒で着弾してしまうから急いで避難しなければならないのだそうです。

【イスラエル固有の事情によるもの】
・エルサレムの特定地域の建物はエルサレムストーン(エルサレム産の石)で作らなければならない。

・日本とは逆に、冬の風が台風並みに強いことがあるのでそれを見越した設計が必要とのこと。

【地震】
地震はあまりないので、柱は細いです。日本人の建築家が来ると柱の細さに驚くそうです。

比べたわけではないのですが、言われてみると確かに細い柱。

【構造】

・木造の家はなく、燃えやすい素材もないので耐火も日本より基準が低いです。

・窓が小さい。日差しが強いので窓は小さくて北向きです。

日差しが強いので建物の窓は小さい。

・日照権はありません。日差しが強いのでむしろ日陰になった方が良いそうな。

・天井高の最低は法定2.5メートル(日本は2.1メートル)

・鉄筋コンクリートはアメリカ式のI型鉄鋼ではなくて、H型を束ねて使っているので熱で溶解しない。イスラエル構造のビルであれば、9.11のように飛行機が突っ込んできても、突っ込まれたフロアが崩れるだけで、全体が崩壊することはないとのことです。

・施工単価は1平米あたり、戸建て1,000ドル(日本の木造 1,600ドル)、高層2,000ドル(日本のRC 3,000ドル)くらい。日本より建築コストは大幅に安いです。

【道路】

 基本発想はイギリス式とのことで、結構しっかり管理しています。さすがに日本ほどではありませんが、ぱっと見た感じも世界の他の都市に比べて整備が行き届いている感があります。

 

カメラでナンバープレートを追跡したり、交通調査をするような高度なこともしているそうです。排水溝は雨が降らないので作っておらず、大雨が降ると洪水になりますが、20年に一度程度のみとのことです。

イスラエルの不動産

現在、テルアビブで大規模なレジデンス開発をやっているのはAyalon SouthDerech Namirの間の一カ所だけでした。今回は、そこに開発中のタワーコンドを見てきました。

 

現在のテルアビブは非常に好景気で、タワーコンドも1~2ヶ月で完売、賃貸もモノがなくて住宅を探すのは大変、という活況な様子です。

案内してくれた不動産開発会社の社長が言うには、テルアビブの中心地にこの2-3年で供給される高級コンドの総戸数は3千~4千戸、高級コンドの相場は6,000~8,000ドル/平米、30%が投資または投機用途、70%が実需とのことです。

実需と言っても、それほど人口が多くない街に、新しく建てて大丈夫なのか?と聞いたところでは、イスラエル人は子供が平均2.6人。親の人生のゴールの一つは、2.6人の子供に家を買ってあげて、代々引き継がせることなので、需要は非常に旺盛なのだそうです。 また、最近のトレンドとして、地方在住のイスラエル人がテルアビブの近代的な街並みに惹かれて引っ越してくるというのが流行っているようです。確かに住みやすい街なので分かる気はします。

現在、高級コンドの表面利回りは3.5%くらい。バブルの中国に比べればまともな利回りですが、日本の感覚で言ったら相当バブルだと思います。近隣のトルコやドバイと比べてもテルアビブは相当過熱感ありますね。


現地訪問から1年以上後の2011年8月24日のニュースです。日本にまでイスラエルの住宅価格高騰のニュースが伝わってきています。

イスラエルの不動産現地視察

防衛長官のバラク氏が住んでいるというコンド。平米2万ドルと非常に高額。

  

テルアビブで一番良いと言われるマンション「U」 この最上階にイスラエル人が2フロアぶち抜きで1,600平米、10Mドル以上という部屋を作ったそうです。今まで世界中の物件を見聞きした中で一番広いコンドです。いったい何に使うのでしょう。「U」は当初300部屋で売り出したタワーコンドでしたが、部屋をコンバイン(接続)して使う人が結構多くて、最終的には250部屋になった(!!)とのこと。これはすごい!富裕層マネーの動きがアクティブです。

建てた後より建てる前の方が安いという価格設定で、現在売り出し中のものは、平米$3,500$なのに対して、近隣で入居開始しているもの(クオリティ は豊洲のタワーマンションと同じようなレベル)は、平米6,000-8,000$であり、完成までの3.5年寝かせれば、倍になるという説明も納得できな くはない感じ。

なんと150戸もある大型コンドもコーポラティブ方式で建設。しかも、2ヶ月の間に全150件の契約をまとめる(!!) 3ヶ月以内に売り切らないと組合が土地を購入する権利が無くなってしまうので、2ヶ月で150件の契約をまとめるのは必須なのだそうです。そんなにすぐ売れるものなのですね。これは日本の不動産販売会社が聞いたらびっくり仰天するでしょう。

 

写真左手前の空き地にもタワーコンドが建設予定ですが、コーポラティブ方式により着工前から完売が決まっています。

なお、コーポラティブ方式の仕組みとしては、組合組成時に組合に対して金融機関よりつなぎ融資がなされ、土地代の45%を先に地権者に支払う。その後 は、組合員から建設資金を集めて建物を建設。組合参加者が債務不履行した場合は銀行が債務保証をする。竣工前に組合持分を転売することも可能。

案内してくれた不動産会社の社長。オフィスもバブリー。上がる!上がる!と煽りますが、上がる理由に合理性的な説明はないようです。テルアビブにはもう土地がない。だから絶対上がる!この建物はこの地域で一番良い。だから絶対上がる!ということを何度も言っていました。ガタイも大きく非常にパワフルな社長です。「コンドの部屋の広さは200平米くらいが一般的だ!100平米なん て狭い家買っても仕方ないからな!」と念押しされるとともに、実需が多く、売り物がほとんどないため、「お前が$2Mのペントハウスを買ったとして、それを売りに出せば、ペントハウスの売り物はイスラエル全土で1件だけだ!!そんなプレミアム物件の値段が下がるわけないだろ!!」と力説されました。

 

現場から東側Kikar HeMedinaを望む。非常に整然としてキレイな町並みです。写真奥、この円の中心部にもタワーコンドが建設される計画のようです。

一方、今風の若者の営業担当者にも会いましたが、こちらはあまりしつこくなくて、欧米スタイルのまともな営業でした。しかし、このような、まともそうな人でも、この物件は20%くらいは上がる!!と言うので、どのくらいの期間で?と聞いたら、それは分からない、と平然と答えます。基本的にみんな根拠がないのがバブルの特徴ですね。

買った後に即リフォームしてアップグレードする人が結構多いとのことで、不動産市況が活況であることを裏付けています。

イスラエルでは、共有部分(の区分に応じた持ち分比率)を含めてグロス面積、専有部分だけだとネット面積というようです。また、コンドミニアムタイプの物件でも駐車場2台付きが普通です。

融資

・銀行は、Bank Hapoalim(ハポアリム銀行)が国内最大の金融機関。次いでBank Leumi(レウミ銀行)がメジャーなようです。
・銀行は外国人には貸しません。イスラエル人が買う場合は、70%の融資可能。
・外国人は外国のプライベートバンクに口座があれば、そのPBのテルアビブ支店が融資する可能性はあるとのことです。しかし、外国人には50%くらいまでしか融資しないだろうとのことでした。

イスラエル経済強いです。

 

不動産は、まだ建築前で更地状態の高層マンションがすでに全戸完売!というのが珍しくないのがすごいです。欧米の不況をよそに好景気を謳歌していますね。

そして、どうやらユダヤ資金というのは、恒常的に存在していて、それが国を支えているようです。実際、イスラエルの国債というのは、残存6年のUSD建てで3.84%(US46513EE325)という米国残存7年で3.3%と、米国債とイスラエル国債は大きく変わらない利回り評価です。いつ核ミサイルが飛んでくるか分からない国の債券にしては評価が高いなと思います。世界中からユダヤの愛国心が買い支えているのかもしれません。

しかし、これだけ好景気で世界のJewishからの下支えも厚い国、イスラエルですが、実際に当地で投資物件を買えるか、という点で言えば、私は買えません。やはりヘブライ語、商習慣の違い、どう考えても外国人よりもユダヤ人優先の経済環境や法制度、これらを考えると、非常に参入障壁の高い国です。日本から直行便は飛んでおらず、何かあった際に現地に行くだけでもかなり金銭的、人的にコストがかかります。


2019/03/15更新