2013/02/01

量的緩和と財政出動による資産インフレと日本経済破綻のシナリオ

【2013年の経済見通し】

 最近、2013年の経済見通しについて雑誌の取材が来て、いろいろと回答しましたので、こちらにも掲載したいと思います。

■2013年の経済見通し

 株や不動産、そして外貨建て資産を多く保有する投資家にとっては、2013年は良い年になるとみています。

 日本では、安倍首相が「(日銀は)デフレファイターとして責任を持って、2%の物価上昇率目標を達成してほしい」と日銀の独立性という聖域にも踏み込み、金融政策を政治の主眼に置 いています。また、米国も失業率6.5%(現況7.7%)、インフレ率2.5%になるまで、早くとも2015年半ばまではゼロ金利(FF金利ゼ ロ~0.25%)を維持して、実体経済の新規投資を活性化させると明言しています。さらに、この間、月間400億ドルのMBSを買い入れ続け、金融市場に 資金を提供し続けます。

 各国の金融政策は、金融市場の回復が実体経済を牽引することを狙っているようです。これらの量的緩和と米国QE3の結果、2013年には一時的な資産インフレが起きると考えています。

 金融機関の資金余剰感は、さらに増し、資金の行き場として、担保の取れる不動産担保ローンの提供が増えると考えられます。融資姿勢が積極的となれば、不動産価格は自ずと上昇します。日銀の資産買入等の基金が日経平均やJ-REITを購入し続けることから、株式市場にも下支えができます。さらに、国内では、ばらまき型(ばらまき が悪いという意味ではない)の財政政策により、局所的に潤う地域(仙台など)や業種(高齢者関連など)が出ると考えられます。

 一方、日本経済の要であるエレクトロニクス産業、機械装置の業績回復が伴っていないため、実業を行っている会社、特に中小企業は依然として厳しい環境に 置かれるでしょう。大企業はノンコア部門の売却や人員整理により、今までの資産の切り崩しににより、なんとか体裁を保てますが、業界再編や合併などにり、国内企業同士の無駄な争いは避け、世界を相手に戦える体制を整える必要に迫られます。このように、実体経済に安定感や成長期待がなければ、雇用安心感がなく消費を喚起しません。

■日本経済は破綻するのか

 実体経済が今後も停滞し続ければ、貿易赤字は増え、将来的には国債を返済する原資がなくなります。

 日本の主力産業であったエレクトロニクスも、今やサムソンやTSMCに仕事を取られ、自動車もコモディティ化とEV化のため海外でも品質の良いものが作れるようになってしまいました。(産業構造の変化も影響していますが、国の産業保護・振興策もかなり悪いです)このような日本製品外しが続けば、貿易赤字が膨らみ、将来的には国債返済の原資がなくなる計算です。

 この状況が改善されなければ、いずれは、中国バブル崩壊とリンクして日本国債残高問題に世界経済の注目が集まり、外資からの集中的な売りを浴びて円安、 債券安、株安のトリプル安を誘発する可能性があります。アジア金融危機とでも命名されるかもしれません。しかし、足下の国債市場は買い需要が旺盛であるため、日本経済破綻と呼ばれる状況が2013年に起きることは考えられません。少なくとも数年先の話となるでしょう。

 国債現物の90%以上は日本国内の個人と保険会社、銀行、郵政グループなどの機関投資家が満期保有目的で保有していますが、外資のヘッジファンドなどが主導で日本経済を破綻に導くことはテクニカルには可能で す。JGB先物の売りは外国人にもできるためです。先物が下がれば現物も裁定取引の結果下落します。日本の国債の返済に難があることは説明せずとも世界の 共通認識として浸透しています。あとは、いつそれが売り注文となって現実のものとなるか、タイミングの問題だけです。外国には日本崩壊で一儲けを企んでい る投資家が多数います。

■今後のインフレ局面で選ぶべき投資対象は

 東京都心部の不動産(一棟マンション)の購入を推奨します。レバレッジが10倍近くまで利き、かつ不動産価格が下落してもロスカットされず、景気停滞局面では借入金利と賃料のスプレッドを取り続け、景気高揚局面では膨大な額(数千万円単位)のキャピタルゲインが狙えるインフレ対応資産です。しかし、現在では都心の不動産価格は上昇傾向が強く、物件の選定は非常に困難です。それでも自己資金が数千万円程度あれば、比較的低リスクでIRRで13%以上の収益を上げることができます。

 不動産のリスクとして金利の上昇がありますが、金利キャップやJGB(またはそのデリバティブ)売りによるヘッジという対応策があり、変動金利の実勢貸出レートが4%を超える水準となれば、モラトリアム法案のような一律的な救済策の発動も期待できます。

 欧米のハイイールド債は、イールドスプレッドが狭くなってきたため、売却を検討する時期だと考えています。